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「それさぁ、真選組からの依頼?それともあんたの個人的なやつ?あ、ちなみにアレね、真選組からなら高額だからね」
ぼったくりたいのか。思わず笑いそうになりながら首を横に振った。
「いえ、個人的なものです」
「ふーん。じゃ新八お茶入れてー。あとそろそろ神楽起こせ」
「げえっ僕がですか……」
「よろしくー」
渋々部屋の中に戻っていった新八君を見送りながら、それでも下りない腕の持ち主を一瞥する。
彼の目は何を伝えようとしているのか読みにくい。だが、これはすぐにわかった。
「真選組って女駄目じゃなかったっけ?それとも知らぬ間にOKんなってたの?」
やはりわかる人にはわかるのか。気に入りの紺の着流しを着ているが、わかる人にはわかってしまうものらしい。苦笑をもらしながら応える。
「私は女、ではありませんよ。少なくとも真選組の中では」
「ふーん……。まぁなんでもいーわ。客だしね」
「ありがとう」
気にしないでいてくれる、ということなのだろうか。感謝を述べながら部屋へと上がらせてもらう。
何か白いもふもふした生き物がいるな、そう思った瞬間その横を擦り抜けた桃色が勢いよく腹へダイビングした。ぐはっと当たり前の反応をしながら、その少女の頭を撫でて苦笑する。
「熱烈な歓迎ありがとう、神楽。……でもさすがに痛いかな……」
「壱ー!!!!!久々ネ!!元気してたアルか!?」
「ああ元気だったよ。君は?」
「むっちゃ元気アル!!最近はろくなもん食べてないから元気じゃないけどネ」
「俺のせいじゃないですー新八のやりくりのせいですー」
「はぁああっ!?この間の報酬全部パチンコですったのはどこの誰ですか!!あ、壱さんお茶どうぞ」
神楽に引きずられてソファーに腰掛ければ、タイミングよく新八君がお茶を出してくれた。礼をいいつつ離れない神楽に苦笑する。
それを見て銀髪の人は若干不思議そうに首をひねった。
「あれ、神楽お前この人と知り合いだったの?」
「前に奢ってくれた人アル!!」
「あーそういえばそんなこといってたな」
「銀さん名前名前」
「あれ俺名乗ってなかったっけ?坂田銀時な、よろしく」
「こちらこそ」
「そんじゃ、用件聞こうか」
どうせ大した用ではないのだ。明るく笑って、私がいうのは。
「隠れ家が必要なんです。私と夫婦と偽れるような年齢の女性を一人、それから隠れ家にうってつけの場所を紹介していただけませんか?」
三人はぽかんと私を見、同時に一言こういった。
「「「は?」」」
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