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□五
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気を失った柔らかい身体を滑らかに愛撫する。傷だらけの身体ではあるが、素肌は雪のように白く美しかった。反応がないことをつまらなく思いつつ、すっと髪を押し上げて。


「……は」


そこに、鮮やかに咲き誇る所有印。

来島がつけたものではない。それは見ればどことなくわかるが、すでにこいつを捕えてから二週間あまりが経過しているのに、そこに咲き続けているのは異常だった。


この痕を残した男の執着、か。


生娘であることは確かだった。けれど漂う色香は明らかに女そのもの。いや、男だろうか。

それなのに、なぜ自身を想う男の存在に気付かないのか。こんな痕すら残されて、どうして。

矛盾にまみれた身体の中で、いつまでも咲く花だけが存在を主張する。誰がつけたものかもわからないが、とんだ所有欲の持ち主だ。

だが、独占欲が強いのは、俺も同じ。

ついでにいうなら他人のものを奪い盗ることも気に入っている。


白い肌の中存在を主張する赤い花を、噛み殺すようにして食らい付く。びくんっと跳ねた身体は、けれど疲れに耐えきれないのか、目を覚ますことはなかった。それを確認し、至るところにある赤い花を食らっていく。


あらかた終わったところで、身を引いた。寝転がしてやりながら乱れた衣を整える。考えるのは、奴ら幕府の犬共のこと。

すでにこいつは切り捨てられたのだろう。確認しても真選組が表立って何かをしている様子は見られなかった。今まで通り単調に、愚かなことを繰り返していた。

けれど、もしも奴らの中にこの所有印をつけた男がいるのなら、そろそろここを探り当てるだろう。そうでなければ面白くない。一度その面を拝んでみたいのだ。この女を引き留めることができる奴の顔を。


そして、嬲られたこいつの死体を、間近にすればいい。


低い笑いを零しながら酒を注ぎ、口を潤す。

そうすりゃ、新たな鬼の誕生だ。そいつをこちらに引き入れるなんざ容易い。


「美味ェ酒だな」


漫然と冷たい夜を照らす月に、鬼の誕生の祝杯をあげた。

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