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□六
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「……わかってまさァ」

「ていうかあの人が普通の女の人っていうのは想像できませんね……」

「お前今のいったら殺されるぞ」

「言いませんよ!」

「まぁ総悟も女の扱いには慣れてるだろうし、心配はしてないんだがな!壱とは調子はどうなんだ?」

「近藤さんあんた今やめろっていったその口で何聞いてんだよ!!」

「いやでも気になりません?副長」

「そりゃまぁ気になるっちゃなるが、てめえらの浮いた話にゃ興味ねえな」

「新妻みてェで手出さなかった俺をべた褒めして欲しいレベルですねィ」

「けろっと何いってんだてめえはァアア!!」


何当然みてェな顔してかっこつけてんだ土方死ね。

とか思いつついえば怒声が耳をつんざく。あーうるせ。


「斎藤さんが新妻……」

「あ、今妄想しやしたね、死刑」

「っちょ刀ァァアッ!!!」

「ザキの分際で生意気でィ殺す」

「落ち着けよ……」


適当にぼこしておくに限る。そもそもこいつは斎藤の傷の手当てをなんでもかんでもしていたわけで。

あ、やべえマジでぼこしたくなってきた。


「ストップゥウウ!!やめようかやめようねやめましょうね!!ザキ死ぬから!!やめろって!!」


近藤さんの声でようやく手を止めてやる。


「こんくらいで勘弁してやらァ」

「……やだもう死ぬ……」

「てめえの脳から弱った斎藤の記憶を消去したら許してやります」


もちろん嘘だけど。

言葉にばっとその図が思い出されたのか、ザキは顔を赤らめた。よしやっぱ死刑。


「だぁあっ嘘です嘘です嘘ですゥゥウッッ!!!」

「嘘じゃねェだろィ今すぐ消せよ。てめえごと消してやりやしょーか?」

「冗談はそれくらいにして……」

「これが冗談に見えるんですか局長ォォオ!!!」

「るっせえよ」


土方さんにまで止めるよう目で促され、仕方なしにザキを縛る手を止めた。止めただけでやめる気は無論ない。


「何にせよ、しばらく斎藤は保護下に置いておけ。外出は止めねえが、なるたけお前もついていくようにしろ。無理そうなら山崎に連絡忘れんな」

「わかってまさァ」

「俺とトシでしばらく隊の様子を見て、病院に連れていけるよう計らうからな。先走らないよう見ておけよ?」

「はい」


こくりとうなずきながら立ち上がった。もう話は終わりだろう、あとはこいつを締め上げれば今日はもう帰宅するに限る。


正直、近藤さんを騙してるみたいで、心苦しかった。


「仕事やってから帰れよ」

「壱によろしくな!」

「ちょっなんで俺ひきずられてるんですかっ!!」

「わかりやしたー、んじゃ」


軟禁状態だなんて、言えやせんねィ……。

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