らいふ
□第1話
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第1話 挨拶
"ジリジリ"という、『嫁』もとい目覚ましの声が聞こえる。
「……ん」
嗚呼、朝だ。
そう思ったが、昨日夜更かししすぎたかせいで、なかなか起きる気になれなかった。
もう少し寝ていたいと思うが、そんな事知らないと目覚ましはその声を次第に大きくさせていく。
「……むり。後、さんびゃく、秒……だけ……」
寝かせてくれ、と言ったところで、目覚ましは止まってはくれない。
≪おきろ≫≪あさ≫≪おきろ≫≪ちこく≫と目覚ましが僕に向かって声をかけ続ける。
「うぅ……」
少しくらいいいじゃないか……。
しかし、早く起きないということは僕が僕自身の二度目の夢の中への侵入を許すことになる。
そのせいで学校遅刻へと繋がる。最悪の場合、今日とゆう日自体をサボることになるだろう。それはさすがに嫌だ。
僕は一度布団の中で背伸びをした。その背伸びをしたせいで布団から片方だけ出た右手を使い、鳴り響く目覚まし時計の声をとめた。
そして、布団から出て大きな欠伸を一つ。
部屋の戸を開けると、朝独特の忙しい音が聞こえてきた。
「……ミソスープ」
寝起きで上手く回っていない頭を使い、朝御飯のにおいに誘われ、部屋を出た。