novel

□卍丸×虎丸
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「だてに先輩風吹かしてる訳じゃねぇんだ…!」
卍丸達死天王は後輩達に打倒藤堂を託して倒れた。
そして桃は藤堂を倒した。
死んだかの様に思われた卍丸達死天王は生きてると江田島が言った。
「傷口が拡がらぬよう慎重に運べよ」
「死天王達はまだ生きているのか!!」

死天王達はゆっくりとヘリの機内に運びこまれた。
「卍丸…先輩…」
祈るように卍丸を見つめる虎丸の姿があった。
今度の戦いではコンビを組んで戦ったこともあった。
虎丸は卍丸の壮絶な過去の一端に触れることで少なからずその人となりを知った。
(この人に死んで欲しく無い)
そう思わずにいられなかった。

死天王達の処置は王大人に託されてからも虎丸は卍丸の側を離れることはなかった。
「できうる限りの手当ては施した生きるも死ぬもその者の気力次第」
そう王大人は言った。
「じゃあ、卍丸は絶対助かるとは限らないのか?」
大きな瞳を潤ませるようにして虎丸が言った。
「…」
王大人はそれ以上答える事無く処置室を後にした。
「なあ、絶対死なないでくれよ」
「俺…もう誰かに置いて行かれるのは嫌なんだ」
虎丸は卍丸の手をそっと握りながら呟いた。

卍丸はどこか知らない所を歩いていた。
足元から無数の手の様な者が伸びてくる。
その中には師匠である厳訕嶺の手もあった。
(そなたさえいなければ…わしは死ぬこともなかった…)
「うっ、お師匠様」
卍丸は意識を手放しそうになっていた。

「えーん、えーん」
その時どこか遠くの方で子供の泣く声がした。
卍丸には何故かその声が自分を呼んでいるような気がした。
手を振り切りその方向へ近づく。
小さな男の子がいた。
しゃがんで泣いていた。
不思議とどこかで会ったことがあるような気がした。
「おい、どうしたよ」
「お母さん、いなくなっちゃった…」
「僕一人ぼっちになったんだ」
「お前…」
「お兄ちゃんは僕をおいて行かないでよね」
「僕ずっと待ってるからね」
小さな男の子がすっと立ち上がるとその子の周りを柔らかい光が包んで
小さな男の子は青年に姿を変え卍丸を誘うように手を伸ばし消えて行った。
「虎…丸?」
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