novel2

□好きだったんだから
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酔っ払っとるんじゃ!こんなこと!だって富樫がこんなに格好よく見えるなんて…。
「久しぶりだな虎丸」
「あ?むぐっ!ふっ!」
俺は口いっぱいになってた肉を喉に詰まらせそうになった。
「とがふぃ?」
「ぶっ!相変わらずだなお前は…ほれ水」
「あっ、ありがとう」
富樫が俺の背中をさすってくれる。
「同窓会参加ありがとな」
「…富樫っ!」
俺は感極まって抱えつく。
「おいおい」
富樫が主催で男塾の同窓会が開催された。俺は皆に会えるのが楽しみで出席した。懐かしい顔に何人も出会って本当に嬉しかった。だけど富樫には何故かそいつらに会えた喜びとは違うものを感じた。
「富樫ぃ、お前生きてたんか!」
「あほか、死んでたらここにいるか」
富樫が俺の頭をポンポンと叩く。それにしても…。格好良すぎじゃ!昔は俺と一緒にお笑い担当だったじゃろが!
「富樫様」
誰かに呼ばれたのか富樫が会場を出ていく。
「虎丸すまん、直ぐに戻る」
なんか全ての立ち居振る舞いが様になる。富樫が移動するだけで溜息を付きその姿を目で追ってる奴が何人もいた。
「虎丸!」
「忙しいんじゃな」
富樫が戻って来てくれて嬉しいのに何故かそっけなく答えてしまった。
「まあな、秘書なんぞ性に合わん」
「そうか!お前塾長の」
「おお、そうじゃ塾長のお守りみたいなもんじゃ!」
「富樫は塾長好きだな」
「ええっ?気色悪いこと言うな!」
富樫は顔を真っ赤にしてやがる。俺だって富樫が好きじゃ!俺だけじゃねぇぞ!他にもいっぱい好きな奴いるぞ!もちろん俺が1番富樫のこと好きなんじゃ!なのに俺達の気持ちも知らんでお前は塾長と一緒に生きてくことを選んで…。
「じゃあ俺が富樫好きだって言ったら気色悪ぃか?」
俺は富樫にしな垂れかかりながら言ってやった。
「お前酔っ払ってるな」
「うるせぇ!俺は富樫が好きったら好きなんじゃ!」
「はいはい、わあったよ」
富樫は俺を引きずりながら外に連れだした。
「お前はでかい声で本当に…」
富樫は控室みたいな所に俺を押し込んだ。
「富樫ぃ…本当にずっと好きだったんじゃ!」
俺は酒の勢いを借りて昔からの気持ちを伝えた。
「落ち着け」
「うそじゃねぇぞ!」
俺は富樫をソファーに押し倒した。
「…俺は女じゃないぞ」
「そんなんじゃねぇ!」
俺は富樫をギュッと抱きしめて唇を重ねた。
「富樫っ!」
「馬鹿たれがっ!」
「おりょ?」
俺はいつの間にかひっくり返されて富樫を見上げてた。
「…火ぃつけやがって」
「へっ?」
富樫が目を細めて俺を見る。うっ!その鋭い眼光が半端無くイケてる。
「俺も本当は好きだった」
「ええっ!?」
うそだろ…そんなこと。
「だって…お前…」
「言えるわけねぇだろ、虎丸は女が好きだと思ってたからな」
「…」
「ギクシャクするのも嫌だったしな」
「もうっ!富樫すぃ」
俺は嬉しくなって涙流しながら富樫に抱き着いた。
「こうなりゃやるこたぁ一つだよなっ!」
「そうだな…優しくしてやるよ」
富樫はニヤリと口の端を吊り上げ笑った。はぁ、なんか俳優みたいじゃあ…ってもしや俺が女役っ!?
「どうした…やりたいんじゃねぇのか?」
「あ、うん」
「だったら…」
そう言って富樫は俺にキスしてきた。端正な顔が近づいてくる。
「っ…富樫っ」
軽く唇が触れただけなのになんかボーッとしてきた。
「ん?」
「なんか…フワフワしてきた…気持ちいい」
「虎丸は相変わらず素直だな」
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