リクエスト
□貴女の世界を壊す赤
2ページ/2ページ
自分が漏らした言葉に疑問を持つ。
自然と漏らした言葉であった筈なのに、
私は彼に"何"を気をつけて欲しかったのだろう。
「…おっと。」
誤って、果物ナイフが彼の指に刺さり、少量の赤い液体がたらりとリンゴに流れ落ちる。
咄嗟に指を口に含み、『これではせっかくのフルーツも台無しですね』と苦笑を漏らす。
リンゴよりも鮮やかな、赤。
赤、赤、赤、赤、…。
「あ…。」
ガタガタと身体が震える。
「あぁ、あぁぁぁぁぁぁッ!!」
「レイナ…!?」
この赤を、なんていうんだっけ?
なんだっけ?
メフィストが卯月の身体を揺すり、何度も名前を呼ぶけれど、その声は届かなくて、
思い出したくない筈なのに、自分の思考は深淵をのぞきノイズのかかった記憶がよりクリアに映し出されていく。
なんだっけ?
あぁ、そう、この赤は…、
" 血 "だ…。
ぐらりと揺れる視界。
ごめんなさい、ごめんなさい…、
「ごめんなさい、」
私だけ生きてしまって、
「ごめんなさい…ッ、」
意識を失った彼女から溢れる涙。
「…まだ、貴女は縛られるのですか?」
あの男の死に、自分の犯した罪に、
「もう、終わったことではありませんか…。」
腕の中の彼女の涙を拭い、メフィストは漏らす。
いつになっても、彼女は幸せになれない。
なんて残酷なのだろう。
彼女が目を覚ませば、また今起きたことを全て忘れているに違いない。
これで何度目だっただろう?
日に日にやつれ、痩せ細っていく彼女を救う方法が見つからない。
…ねぇ、貴女はどうすれば幸せになれますか?
彼女の世界を壊す赤
(貴女を救えない自分が)
(至極情けない…)<
/font>
―――――――――――
梨様リクエスト『もし夢主が気絶する程、血が苦手だったら』でした!!
お待たせしてすみません。なんだかすごく重い話になってしまいました…(-_-;)
いつも当サイトにご訪問、ありがとうございます!!
楽しんでいただけているようで、こちらとしては嬉しい限りです。
これからも、長編共々『Answer』をよろしくお願いいたします!!
素敵なリクエストありがとうございました!!
.