過去編
□prologue
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…身体感じる揺れが心地良い。
どれほどの時間が経ったのだろうと、閉じていた目を開く。
「…おや?起きましたか☆」
隣に居た悪魔が、優しく頭を撫でてくれた。
その手が気持ちよく感じて、少し身を捩る。
「もうすぐ着きますよ。」
1つ欠伸をして、車の窓から外を見た。
ガラス越しに初めて見る、自分の知らない世界…。
「正十字学園町。これから、貴方が生活する場所です。」
目を見張った。
夕暮れ時のオレンジ色の光に反射して輝く風景。
何層にも重なる城のような町並みは、見ていて飽きない程神秘的だった。
「…きれい。」
思わず漏らせば、メフィストは満足そうに微笑む。
自由を手に入れたその日から始まった、私の生活。
「ようこそ。私は心から貴方を歓迎しますよ、レイナ☆」
鳥籠から出た私は、飛び立った。
隣にいる、道化のような悪魔の手をとって。
To be continued...