過去編
□First
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…カツカツと、響く足音。
沢山の本。
周りの本棚は、見上げる程高く、その空間に光は見えない。
「…人とは、過去に捕らわれる生き物です。」
陽気に悪魔は声を漏らす。
「喜び、悲しみ、怒り、苦しみ…、様々な感情を記憶に留める。人は"過去"が無ければ存在することは出来ない。それは特別なことではなく、至極当然のこと。」
悪魔はクルリと後ろを振り返り、ファンシーなピンク色の傘を振りながらまた床のない空間を歩く。
「ところで、皆さん御伽噺は好きですか？」
おもむろに本棚から本を抜き取る。
「私は何百年も物質界に存在しておりましてね。１つ、退屈しのぎに昔話をしましょうか。」
…これから話す物語は、辛い葛藤の中、必死に今を生きる科学者のお話。
望まぬ因果を持って生まれた、悲しい少女の物語。
「少し長くなるでしょうから、どうぞそちらにお座りください。それでは、」
アインス、ツヴァイ、ドライ☆
First stage start!!