リクエスト
□貴女の世界を壊す赤
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…モノクロの視界に、広がる鮮やかな赤。
赤、赤、赤、赤、…。
大量の赤い液体が、自分が刺した男から溢れ、辺りに飛び散る。
モノクロの視界で、はっきり認識する赤。
こんな綺麗な赤の筈なのに、恐怖で身体が震えて、
この赤を、なんて言うんだっけ?
なんだっけ…?
なんだっけ…。
…あぁ、そうこれは、
□■□■□■
…ゆっくりと目を開ける。
白い天井が見えて、ここがどこだか認識すると、ゆっくり上半身を起こす。
右腕の点滴。
そう言えば、最後にまともに食事をとったのはいつだっただろう?
1人あらぬ方向を見据え、ふと考えた。
「…おはようございます、レイナ☆」
もう聞き慣れた彼の方へ視線を向け、薄く笑みを浮かべる。
「おはよう、メフィスト。」
そう返せば、何故か少し悲しそうに目を細め、花瓶の花を交換した。
「今日は天気がいいですよ。カーテンを開けてみては?」
閉め切ったカーテンを見て、メフィストは問う。
「…そうだね。開けてもらってもいい?」
カーテンを開ければ、日差しが部屋に差し込み、もう部屋の明かりも要らないじゃないかというほど明るかった。
「…顔色がよろしくないようですが、何か怖い夢でもみましたか?」
ベッドのそばの椅子に腰掛けて、メフィストは言葉をかける。
…夢…?
「…最近、覚えてないや。起きると忘れる。」
何かを見たことは覚えているのに、何故か覚えていられない。
何だろう、何か忘れてはいけないことの気がするのに…。
胸が、どうしようもなく苦しい。
「無理に思い出すことはありませんよ。きっと、貴女も疲れているんでしょう。」
そう言って自分の頭を撫でる、彼のこの大きな手が大好きだった。
自分を安心させてくれる、この手が。
「今日、食事は?」
「少しなら…。」
「それなら、フルーツでも切りましょうか☆」
傍らに置いてあるフルーツバスケットからリンゴを1つ手にとり、果物ナイフを当てて皮を剥いていく。
「気をつけてよ。」
「大丈夫ですよ、私はレイナと違って器用ですから☆」
…あれ?
"何"に気をつけるんだっけ…?
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