リクエスト
□来世でまた逢おう
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…いつしか、
彼女の姿を恋焦がれ、愛しいと感じた。
その気持ちに嘘も、偽りもない。
けれど、
『めふぃ、スト…?』
無意識に彼女の首に手をかけた。
ギリギリと、気管を圧迫し、苦しげに声をあげる。
何故か自分は冷静で、冷酷で、
暫くすれば動かなくなるのは当然で、
徐々に体温を失っていく彼女の身体を抱えてようやく我に返る。
『…レイナ?』
身体を揺すっても反応することはなく、
何度名前を呼ぼうとも、此方の声には答えない。
急に感じたとてつもない恐怖に、身体が強張った。
『あぁ、なんて愚かなのでしょうね。』
後ろから聞こえる声に振り替えれば、視界に入る紫。
『貴方が愛してしまったばかりに、貴方の愛しい小娘は死んだ。』
責めるような彼女の言葉に目を開く。
『何をそんなに驚くの?』
『違う!私はッ、』
『あら、いったい何が違うというのかしら。』
目の前の現実から逃げることは許さないと言いたげに、言葉を続けた。
『レイナを殺したのは貴方よ、サマエル。』
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「…スト、メフィストッ!!」
彼女の声で、メフィストは目を覚ました。
身を起こせば、自分にかけられていたシーツが捲れ、自分が裸であることに気づく。
荒い呼吸で呼吸を繰返し、掌をみれば、冷や汗で湿り気を帯びていた。
「大丈夫か?」
持っていたメスを銀色のトレイに置く卯月に『何が?』と思わず聞き返す。
「凄い苦しそうに呻いてたから…。」
『今日はやめるか』と漏らして、ゴム手袋を外し、解剖後の癖になっているのだろう、水道で手を洗った。
今日は、月に1回の自分の解剖日。
彼女にとっては重要な日であった。
呆れたように溜め息をつきつつ、卯月はまたメフィストに歩み寄る。
「調子悪いなら、無理せずに言えよ。」
「…すみません。」
弱々しい謝罪の言葉に少し驚いたように瞬きをし、また溜め息を漏らす。
不快な気持ちにさせてしまっただろうかと、メフィストは目を伏せ、息を吐き出した。
「水いる?」
「いえ…、」
「じゃあ、何処が悪いかわかるか?」
心配性の卯月はそうして彼の顔を覗き込む。
答えないことで、返答が"NO"だと解釈したのだろう。
聴診器は何処だろうかと探そうとした時、メフィストは反射的に卯月の腕を掴んだ。
当然止まることとなった彼女の動き。
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