┣短編小説

□My Guitar
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ギターを持って、もう1年目…。

だが、きっかけは1年と半年前ほど。

彼女との交際、
それは1年も持たず終わってしまった。


己の能力の無さ、
知識の無さ、
遅疑逡巡さには恐れ入った。

俺は、何もかもが並以下だった。


今でもその恋に関して、只ならぬ嫌悪を感じる。


それがきっかけで、辛いだけの部活も辞めて、
とにかく人の役にだけはたとうと思い、文化部であるボランティア部に入った。

友人が居たという理由もあったが、
確実に無意味になった半年以上の期間を、
どうにか忘れようと躍起になっていた。


忘れられようものなら、何でもよかった。






交際を断られて自殺されても、
それは断った人間の責任じゃないよね…と、
俺たちはよく2人で話していた。

彼女も俺も、
まるで当然のように話していた。

まさか俺は、
自分がその無関心で相手にされない人間になると、
知っていながらも忘れていた。




子どもは無邪気であり、残酷であるという意味を、
今なら痛烈にも思う。

侃々諤々。
よく言えば、正論を周りを気にせず言う事だが、
悪く言えば、正論を理由に周囲を気にもかけず議論することだ。

俺達は、後者だった。


死にそうな顔をしていた俺は、
ふと思い返すことがあった。

その時の憂鬱さをかき消したのが、
今も目に残る、彼のギター演奏だった。


明るく陽気なそのメロディが、
自分を子どもだと気がつかせてくれたのだった。


そして、自覚をした瞬間、
一挙に自分が無邪気でなくなった。



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