┣短編小説

□最高の犯罪
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その事件が起きて後日だ。


サム刑事こと、サムガイルという私は、この事件を担当する羽目になる。
署から追い出されるように、数名勝手に選ばれては捨てられたようなものだ。

なんてこっただ。


部下にベールという太った下っ端の警察官。
痩せ、だが使えるエリートの新人、ロディ。


たった3人でやるにはおかしすぎる事件だが、
何せこれは極秘らしい。

王族であるメスクロ王に知られてはならない任務だからだ。




何せ、王族つながりでは無いだろうかという話が出たからだ。


そうなれば、実際あの狂いに狂った国王関係の醜態を調べる俺たちの存在を知れば、
王族の身勝手に押し付ける無実の罪やら何やらで殺される可能性だってある。

合理的に、まさに、正当なやり方を利用して殺すわけだ。
王族は、それだけの権限を持っている。

更には俺たちが警察の人間だと知れば、
警察という存在は消され、軍隊が支配する街となるだろう。


我々に関係のある事柄第一位は、
王族に伝わったりすれば、私たちは優先的に殺されるということだけだ。


今は笑い事だが、それが実行されたりすれば、
かなり笑えないだろう。

覚めたコーヒーよりも不味い様子が、目に浮かぶ。


気休めなのは、
要請する意味と計画次第で、上(ハゲ)が人間をある程度派遣してくれることだ。

できるだけ、利用したいつもりだ。




「サムさん。コーヒーですよ」


気の利くロディは、コーヒーを準備してくれる。

先ほど、苦くて不味く、更に冷たいコーヒーを想像していた俺にとってこれは、
いささかイジメにもとれるが、
俺は普通に受け取る。

これは偽り無く温かい、現実味のある味だからだ。



現在時代はまだ発展途上。

どうやらゾルボニアという国で、飛行する船だか車かで空を飛ぶのに成功したとかいう事例があるらしいが、
たかがその程度だ。


この石を敷き詰められた地面のこの街に、
そんな空を飛ぶ船など必要ない。
そんな大掛かりなの、市販化されないだろうし。

居るのは人材と、もっと身近になる簡易な足だ。


さっさと、車とやらを量産して、
早くそれを乗り回せれたら、これからの移動は簡単だ。

その気になれば、旅だってできる。


自転車などという、走るより早いだけ、疲れるのが早い、不便な道具でないものになればいい。


煙草、パイプを吸っている私達にもやさしい移動手段を、
さっさと量産して欲しい。


夜の明かりだって、何時までもロウソク。


王都なのだから、最近流行の電気ってのを使えばいい。


雷からエネルギーを得る実験、
化学反応がどうのこうので電気を得る方法、


どれにしたって、私には今一原理は掴めていないが、何故今になってもそれを使わないのだろうか。


当然か。
戦争がよく起こるからな。


ゾルボニアの方に資金援助をして、さっさと悪い帝国さんを潰してもらいたいものだ。

そうすれば、国はそういうところに資金を回す余裕ができる。


それまでは、我慢するしかないんだろうな。




そんな事を想いながら、資料を見た。

タイプライターという物まで用意していただいて。
単にこれの使い勝手の良さをご披露したいわけじゃないのだろう。
だがそれほど解決したい事件だというのなら、もう少し人員を増やして欲しいものだ。

資料も、ご苦労様。
わざわざ紙に叩いていただいて…。

丁寧に郵便から回さなくとも、
直接誰かを派遣しろっつーの。



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