┣そよ風の物語(小説
□そよ風の物語~同時進行のもうひとつ~
2ページ/42ページ
レボルや多くの人達が作戦を立てる。
ローズの前でヘラヘラしていた二等兵格好の男は、
凄く不満そうにそれを見ていた。
「…あんなんで勝てるわけ…」
なんて言葉が時々、真横なら聞こえる程度で言っている。
そんなオーラと嫌な気分までもうつってしまいそうに感じているローズは、
煙草を弄ったりしてそんな気を紛らわそうとしていた。
「おい、お前名前は?」
小声で尋ねる。
ぱっと見て実力的に、軍曹か少将くらいだとローズは考えている。
「フリーと呼んでください。
階級は、お恥ずかしながら軍曹です」
ビンゴ!
心の中で叫んだ。
「ローズさんって、白薔薇のローズ=エイストですよね。
噂では聞いてたんですけど、
まさかここまでの気迫とは。
私では全然ですね」
「顔近いぞー…」
どうでもいいような顔をしながらローズが呟く。
フリーは笑顔で顔を引く。
「失礼しました。
そういえばローズさん。
この会議、どう思いますか?」
ローズはあたりを見渡してみる。
偉ぶったような人間、頭の悪そうな人間、
自分の権威を主張したそうな人間…。
「つまらんとは思う」
「ですよね」
まるで子どもだな。
自分と意見のあう人間が居ると思えば、
何故かこうもつっかかってくるところが。
そんなことを思いながらローズはライターを取り出して、
それの輝きを仰ぐ。
ローズがこの場で完全に浮いている。
態度から座り方から。
「こういう会議って、駄目な作戦が立ち易いんですよ。
戦場をよく知らない人間が決めるべきじゃないと思うんです」
「そーかもな。
俺も、こんな会議出ても役に立てないのはよーくわかってる」
「へぇ?」
いちいち癇に障る態度だ。
多分こちらの性格をうかがっているんだろうが、
こういう人間はあまり好きじゃない。
確かにかなりの戦力になる、レイスのような人間だが、
こういう人間ほど扱いが難しい奴らはいない。
だけど何でか、こういうタイプはローズという人間に対して関心を持つ。
…