┣短編小説

□摂理
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「ついて来てください」


白髪の少年はそう言った。


防具に若干木や草が絡まり妨害しているようだが、彼は気にするようすもなく突き進む。
金髪で長髪の少女は、普段着だ。
だから何かと慎重に進んでいる

長い髪はゴムで縛られていて、視界の邪魔にも動作の邪魔にもならないようにしていた。


葉の落ちきった広葉樹とまだ青々しい針葉樹が斑尾(まだら)に生えていて、
それらが行く手と視界を塞ぐ。
しかし太陽は防がず。

笹の葉のような葉っぱは枯れて堅くなり、肌が触れればすぐ切れてしまいそうだ。

少女は腰に置いてある愛銃、ガバメントを手にとりセイフティを確認する。
ロックがかかっているのを確認し終えるとまた腰に戻す。

彼女がする事は、少年についていく事。
それ以外、なにもなかった…。


今回、狩りを行うのはエリザではない。

彼、レッドなのだ。



エリザは狩りの見学のつもりで付いてきている。
だから、愛銃を使用することはないだろう。


急に彼は止まる。
エリザは、それにあわせて足を止めた。


「いました。見えます?あれ」


彼は指をさして、得物の位置を教えてくれようとしているが、
その先を見ても何もいない。
目を凝らしても、どこを見ても何がいるかなど分からなかった。


だが、その得物が動くとあっさりと見つかった。


100mほど離れた位置に、茶色が多く混じった何かがいる。
それは小さくて、銃で狙う場合にも難しそうだった。


「あれ、野うさぎです」


彼がそういいながら、武器の準備をしだす。


弦を張る。

150cmの弓、その弦もまた太く堅い。


常人ならば、まずコレを射るために弦を引く動作ができない。
その場合、通常の大きさの弓矢のほうが距離をだせるかもしれない。

しかし彼はコレを扱える。
扱えると、飛距離は2〜3倍になる。


そのことを、彼女は知らない。


「あぁ…、そうそう」


彼は思い出したように腰にあるナイフを取り出した。



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