etc.
□届かぬことば
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何度目かの覚醒に、ステラはうまく機能しない瞳にうっすら映る世界を眺めた。
知らない天井。規則的に繰り返される機械の音。無を連想させる白の空間。
ここは嫌い。怖い。
「ステラ...?」
彼女の覚醒に気付いたシンが、そっと呼びかけて来る。
胸を満たす優しい響きに、ステラは痛みに閉じかけた瞼を再び開けた。
「シン...」
シン。燃えるような赤い瞳を持った人。ステラを守ってくれる人。
たどたどしい声音で名前を呼ぶと、シンは笑いながら顔を歪めた。
最近シンはいつも泣きそうな顔をしている。
笑っているのに泣きそうな顔で、自分を見ている。
「シン…ステラ…守るって…」
いつか貰った魔法の言葉を言うと、シンは更に瞳を歪め苦しそうな顔つきになった。
どうしてそんな顔をするのか、ステラにはわからない。
だから、何度も何度も繰り返す。
ねぇ、シン。ステラ、大丈夫なんだよ。
シンが言ってくれたから。“守る”って言ってくれたから。
だから、だいじょうぶって、いいたいのに。
ああ、またあなたが遠ざかってゆく。
まだ言いたいのに。話したいのに。
伝え、たいのに。
霞んでゆく視界の端に、涙が滲んだ気がした。
END