etc.

□彼と彼女の関係
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「ラクス様って、なんでキラさんとお付き合いすることになったんですか?」
「…はい?」

 私が以前からずっと気になっていた事を聞くと、ラクス様は不意を突かれたような、普段滅多に見せない驚いた顔をした。

「ええと、ラクス様はアスランさんと婚約してらっしゃるじゃありませんか。それなのに何でだろう…と思って」

 内心その反応に刮目しつつ続けると、彼女は通路を歩みながら小さく笑んで答えた。

「アスランとの婚約は、前回の戦争の時に解消したのですよ」
「嘘! そうだったんですか!?」
「プラントの皆様には、あまり知られていなかったようですけれど」

 思わず大きな声を上げた私に落ち着いた様子のまま、ラクス様は「私自身もアスランに対して恋愛感情はありませんし」ときっぱりと言った。
 …じゃあアスランさんには、私にもまだチャンスがあるってことだよね。よーし!!
 脳内で密かにガッツポーズをする私を、ラクス様が不思議そうに眺めている。

「では、キラさんとは何処でお知り合いに? やっぱりザフトですか?」 

 しかし、更に訊ねた質問に帰ってきた言葉は、私の予想と全く違っていて。


「…いえ」



「…キラはプラントの方ではありませんから」




「え…そうなん…ですか?」


 ラクス様が前大戦時に、クライン派と呼ばれるザフトの一部の同志たちとプラントを離脱して、アークエンジェルを含めた第三勢力として戦ったことは有名なことだった。
 キラさんはフリーダムを操縦する位の優秀なパイロットだし、二人の様子はそれこそ何でもわかっているような親密な感じ。
 だからその時からのお付き合いなのかな、そう思ったんだけど。どうやらそうではないみたい。
 ……あんなに綺麗なコーディネーターなんだもの。てっきりプラントの人かと思ってた。
 でも、カガリ代表と兄妹とか言ってたし、だったらオーブの人なのかな?
 うーん…よくわからない…


「……それが良かったのかもしれませんね」


 首を捻らせていると、ラクス様は独り言のようにぽつりと呟き、ほんの少し遠い目をした。
 僅かに憂いを帯びた横顔が立ち止まり、私もつられて立ち止まる。
 艦内のどこも見ていない瞳は、少しだけ寂し気な色を湛え、でもとても嬉しいことを話すように、ゆったりとした声音で言った。




「キラだけは、本当の私を見て下さいましたの」
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