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□少女達の明日
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「お姉ちゃん!!」
アスランの操縦するジャスティスによってエターナルに収容され、格納庫でシンと所在なく突っ立っていた私に、見慣れたモスグリーンの制服が駆け寄って来る。
その人物の肩で揺れた赤い髪を認識した途端、隣にいたシンを置き去りにして私は走っていた。
「メイリン!!!」
もう二度と逢えないと思っていた存在。失った筈の温もり。
「お姉ちゃん!!!」
自分の半身とも言える、血を分けた大好きな妹が強い力で抱きついて来た。
「メイリン…本当に良かった…」
「お姉ちゃん…」
色々言いたかった筈の言葉は涙に混じり、頬の横へと流れていった。
視界の端で、シンやアスランが少し微笑みながら見ている。
先に着艦していたらしき茶髪の青年も、ブリッジからやってきたラクス様と一緒に私たちを見ていた。
大勢の人に見られているのに涙は止まらなくて、場所をわきまえず、私たちは子供の様に泣いた。
それから、エターナルでメイリンに支給されている部屋(ラクス様と同室らしい)に籠って長い長い話をした。
どうしてハンガーでアスランの手を取ったのか。人伝でしか知らない状況を彼女の口から聞くと、それは至極真っ当な判断に思えた。
無茶だと言う印象は、拭えなかったけれど。
「私たち、そんな扱いにされてたんだ」
スパイ容疑で脱走犯扱いされていたことを知ったメイリンは、ひっどぉい、と唇を尖らせて憤慨した。
その正直な反応が自分の中で妙にしっくり来て、議長の語った言葉だけが世界じゃなかったことを思い知る。