etc.
□生まれた時からの絆
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「キラ!」
フリーダムの微調整を終え、コクピットから降りたのとほぼ同時に響いた声に、キラは首を動かす。
「キラ!」
何度か名前を呼びながら、たった二台のモビルスーツの並んだ格納庫へカガリが駆けてくる。
「どうしたの?」とキラは問うが、傍まで来た彼女は「ああ、えっと…」と言い淀んだ。言葉が見つかる前にキラの姿を見つけ、とりあえず声をかけたらしい。国の代表となりしっかりとした落ち着きが身に付いてきたものの、そういった所は変わってなくて、キラの口元には思わず微笑が零れてしまう。
「その……すまなかった!!」
「え?」
ところが、しばらく黙っていたカガリは何を思ったか、勢い良く彼に頭を下げた。彼女のつむじを見ることになったキラは、呆気にとられたまま立ち尽くす。すると
「……あの時、バカとか色々言ったから」
と囁くような声が聞こえて、キラは納得した。
彼女が指しているのは、結婚式場からフリーダムで花嫁姿の彼女をかっ攫ったことだろう。あの騒動は自分にも非があることなので、苦笑しつつキラは返す。
「気にしないで。カガリの気持ちも、よくわかってるつもりだから」
「うん…でもごめん。それと……ありがとう。私を連れ出してくれて。考えてみたら、礼も言ってなかったと思ってな」
まっすぐな彼女らしく、正面からキラの顔を見つめ話していたカガリだったが、そこでふと俯いた。襟足の長いショートカットのブロンドが頼りなく揺れた。
「大西洋連邦との条約は、オーブの為を思って選んだ事だけれど。……ユウナとの結婚は、アスランの気持ちを裏切ることだったから…」
右手で左の指をいじりながら、カガリは言葉を途切らせる。薬指にある指輪が光った。アスランに贈られたという、赤い石のそれ。