etc.

□蛇眼の武王と翼持つ者の邂逅
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「…貴様…俺の弟を愚弄する気か」
「真実の側面を言ったまでだ。実際彼…ガラハッドが起こした歪みは酷く大きい」

 そして“彼”の名を捉え、いよいよ顔を顰める。

「一方的な軍事行為で、シルディアだけでなくエルフの里まで侵攻した。
 最後には機械皇帝とまでなった彼の末路を忘れたのかい?」
「__それ以上弟を愚弄するな!!」

 怒声で言葉を封じ、カイネルは剣を抜こうとした。


「__な!?」

 ___剣がない!?

 カイネルは腰元をまさぐるが、求めるものは何も無かった。
 黒い穴に引き込まれる際にもしっかりと握っていたのに関わらず、求めたそれは消失していた。


「君の探す物はここにはない」

 少年の冷静な指摘に、カイネルは視線だけを彼に向ける。

「あったとしても、この空間では意味を為さない」

 カイネルは彼を睨んだ。だが少年は敵意を感じさせず、温度の低い瞳で彼を見つめ返すだけだった。
 やがて怒気を抑え、カイネルはその少年に訊ねた。

「……ここはどこだ」
「ここはアストラル界。君がいた世界とエルデを繋ぐもう一つの世界。世界の傷や、次元の狭間。カオスゲートと呼ぶ者もいる」
「何が狙いだ? 俺の命か?」
「僕はここで世界を監視するのが役目だ。その点から見ると君の生死にはさほど興味はない。
 しかし折角会えたことだ。少し質問をしよう」

 少年は淡々とした口調と、僅かに高揚したような口調を混ぜ合わせながらカイネルに問うた。




「君は絶対的な運命が存在すると信じるかい?」
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