etc.

□幸せへのプロポーズ
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「シン君がいつも『人前でいちゃつくな!!』って言うから。
 だったら夫婦になれば、他の人がいても大丈夫かなって」

 いやシンはそういう意味で言ったんじゃないと思うぞ一体お前はどうしてそう昔から考えが突拍子もない方向へといくんだどうせ仕事中にいちゃついてんたんだろうそれが問題なんだっていうかそもそもまず結婚ってなんだよと、アスランは思いつくことを述べようとしたが、しみじみと頷いたカガリに遮られてしまう。

「そうか、お前たちも付き合い長いもんなー」
「カガリ! いいのか!?」
「なんだ? お前は反対なのか、アスラン」

 そんなあっさり認めていいのかと、声を上ずらせて詰め寄るアスランをカガリはさも訝しげな目で見る。
 その視線にたじろいでいると「そうなの? アスラン」とキラが続けて問うた。
 唯一無二の親友に少し悲しげに聞かれてしまっては、頭ごなしに否定する訳にもいかない。

「いや、そんなことは…」

 と、アスランは思わずいつものように言葉を濁してしまった。

「そっか、良かった」
「お前が反対な訳ないよなー」

 よく似た顔で、性格の全く違う双子はのほほんと微笑み交わした。
 一度意見が合致するとこの姉弟は本当にタチが悪い。アスランはその思いを新たにした。

「しかし…そんな簡単に決めていいのか?」
「何でだ?」
「だって結婚だろ? もっとこう、段階を踏むというか、ちゃんとしたやり方があるんじゃないのか?」
「そりゃあ世間ではそうだろうさ。でもキラたちにはキラたちのやり方がある」
「だが…」
「お前の指輪の渡し方ほどじゃないだろ」
「うぐっ!」

 カガリに至極冷静に、密かに抹消したい過去である己の愚行を指摘されたアスランは言葉を失う。
 露ほども気にしていないらしい彼女は彼に見向きもせず、優雅に紅茶を啜った。
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