etc.
□似ている人
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「少し考えが足りない所とか、無鉄砲な所とか」
「…それ褒めてんのか?」
「やさしい、所とか」
穏やかな表情に、ソウマは言おうとしていた文句を飲み込んだ。
人知れずクレハに心を寄せていたソウマにはわかる。
彼女の表情___それは、もう叶うことのない、愛しい者への想いだ。
「彼も、望まぬ運命に走った人を止めようと、救おうとしてくれた。私が諦めようとしたその瞬間も、隣で励まし続けてくれた」
「……そっか。いい奴だったんだな」
頷きはしなかった。だがその沈黙は何よりの肯定の証だった。
「お前達を見てるとつくづく思うよ。シオンは本当に慕われてたんだなって」
時折ゼロの顔によぎる、人としての弱さを思い出しながらソウマは言った。だから尚の事、彼らにとって同じ場所に立てない今は歯痒いものだろう。
そこに相容れない道を選んだ自分達を重ね、少し遠い眼になりソウマは問うた。
「……昔に戻りたいとか、思うことあるのか?」
「……そうね……」
短かった銀糸の髪を、ブランネージュは無意識に押さえた。
「あの頃が一番幸せだったのかもしれない」
ブランネージュの脳裏に、平穏からは遠かったが、仲間達との騒がしく心地良い日々が浮かんだ。
同時に今はもういない、少年の姿も。