etc.
□似ている人
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「……でも過去は戻せないし、これも彼が運命を受け入れた一つの結果」
彼女の心象世界で、少年の笑顔は白と黒の翼に変わる。
「なら私達は、別の道でそれぞれの役目を果たすべきなのよ」
ビジョンの変化を些か苦い気持ちで見ていた彼女に、ソウマの声がかかった。
「信頼してるんだな」
「信頼……?……いえ」
ブランネージュは視線を逸らした。
「…信頼してたら、疑うなんてことしなかったわ」
「けど今は違うだろう?」
ソウマは戦車の車体に座り直しながら言った。
「あいつの立場を理解して、受け入れて。それで今は動いてるんだろう?
だったらそれは、“信頼してる”ってことになるんじゃねぇか?」
何でもないことの様にソウマは話したが、彼の言葉をブランネージュは目を見張って聞いていた。
「それに同じ願いなら、また道が交わるさ。未来なんて誰にもわかんねーんだから。
あいつが人間に戻れる日だって、いつか来るかもしれないぜ?」
最後はいつもの自分らしくおどけて話したソウマを、ブランネージュは驚いた顔のまま見ていたが、やがてまたゆるりと口の端を上げた。
「…やっぱり似てるわ。貴方とシオン」
「へ?」
間抜けな声を上げた彼に、ブランネージュは意味ありげな微笑を向けた。
END