etc.
□あの人の印象
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星々が近付いては、窓の外を遠ざかっていく。
「こちらでも、一人なのは変わりませんのね…」
ヴェサリウスの船室で物足りなさそうに呟き、ラクスは大事な友達を手招きする。
「ピンクちゃん」
「ハロ!」
掌に戻って来たハロにくすりと笑みを零すと、心を占める人の名前をひっそりと呼んでみた。
「キラ様…」
ポロロ、と微かな電子音を立て、ハロの目が彼の名に反応したかのように光った。
彼との出逢いが脳裏に蘇る。
乱暴ではないけれど、力の篭った腕で掴まれた瞬間、身体に電流が流れたように感じた。
初めて躊躇なく、自分の手を掴んでくれた人。
歌姫のラクス・クラインではなく、一人の少女として接してくれた方。
今度会ったら、また「キラ」と呼んでみようか。
アスランの元へ返してくれた時は、それどころでは無かったけれど。
もしまたちゃんと呼んでみたら、彼はどんな顔をするのだろう?
きっと藤色の瞳を瞬かせて、吃驚した顔で私を見つめるのだ。
「アスランからも、彼のお話が聞きたいですわ」
相槌を打つハロを抱え、ふふっと花の様にラクスは微笑んだ。
END