闇の誘う夜想曲
□〜小さな夜の歌〜
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「突然ですが、食材が切れました」
ある日の食料事情
よく晴れた日、旅の休憩中にシュリが突然そう言った。
しかし、一行のそれに対する反応は薄い。一部に至ってはそっぽを向いている。そんな中、シュラはちらっと荷物を一瞥をくれる。
「ふーん」
「いやいやいや「ふーん」じゃないから「ふーん」じゃ」
「じゃあなに?」
ふるふると首を振りつつ否定するシュリにシュラは心底判らないと言う表情。
「いやまぁ、グレヴァスは良いけど私たちは食べなきゃ死んじゃうから!次の街まで三日くらいだし」
「成る程」
ぽん、と手を叩いてにこやかに納得、と呟く我らがシュラ様。しかし重要なのはそこじゃない。シュリはそんな反応に苛々のボルテージを募らせる。
「だーかーらー……どうするかって話なの!判ってる?!」
「別に三日くらい食べなくても死なないよ?」
「そうきたか」
がくっと肩を落とすシュリ。しかしシュラは尚にこにこしながら再度口を開く。
そして、語尾にハートマークをつけながらグレヴァスに笑顔を向けた。
「あ、じゃあ狩りしようよ。グレヴァスGO」
「俺?!」
傍観者を決め込んでいたので少し混乱しているグレヴァス。思わず叫んじゃいました。
「うん。この辺りだと猪とか狩れないかなぁ?そろそろ旬だよね」
「野菜じゃないんだから」
「子猪とか良いよね」
「残酷!」
あくまでほのぼのと言うので逆に怖いが、何時ものことなのでもうこれ以上は突っ込むまいとシュリは口をつぐむ。グレヴァスも微妙に視線が彼女を馬鹿にしているようだし。
そんな心情はおかまいなしにシュラはそっぽを向いていたケイジュ達にも声をかける。
「ケイジュは何食べたい?」
「別になんでも……」
「調理し易い物がいいですよね。っキャーーーーーー!!!」
突然上がる悲鳴に、ぎょっとグレヴァスとシュリが振り返る。見れば、ケイジュがジェネの耳を掴んでいた。
「痛い痛い痛いですケイジュ様ぁぁぁぁ!」
「ケイジュなにやってんの!」
「ああ、ジェネで鍋でも良いよね」
「何言い出すのシュラ?!」
ケイジュの手からジェネを取り上げると、よしよしと頭を撫でる。見れば彼女は結構本泣きしていた。シュリは縋るような思いでグレヴァスに視線を向ける。
「……判った、判った。手頃な動物を狩って来るから大人しくしてろ」
暫く睨み合う間違い視線をかわすと、もの凄く嫌々ながらグレヴァスは腰を上げた。シュリの表情がぱっと明るくなる。
「捌き易いのでよろしくね!」
「基準が判らない」
吐き捨てスタスタと既に森深くげと向かうグレヴァス。
「〜〜っ結局私も行かなきゃってことね」
渋々、シュリはジェネを抱えて彼を追いかける。
「あ、兎とか美味しいかな」
「…………ジェネ持ってかれた」
そこには、シュラとケイジュがぽつねんと残された。
文章能力が欲しい。
2007 11 24 霽凪璃穩