短篇集

□数学浪漫
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注意!

歴史に実在した学者語りです。
一部脚色、また、きちんと文献で調べたわけではないのでもしかしたら間違いがあるかもしれません。
それでも許せるって方のみどうぞ。



















皆様、二次方程式の解の公式はご存知ですよね。

そして、これでもかって程汚いので暗記している人は少ないでしょうが、三次方程式の解の公式が存在するということもご存知ですよね。


今回は、璃穩ずきゅんときた、公式を巡る数学者の萌えを語ります。
や、萌えっていうかきゅんときた話をただ語るだけですが………。(ぇ)






むかーしむかし、大体16世紀の頃。
この頃数学者ってのは、お互い逢う度に挑戦状といわんばかりに数学の問題を出しあっていたそうです。


なに可愛いことやってんのあんたら。



とまぁ、そんなツッコミは置いときましょう。
勿論、手紙を送るとそれにも問題を出していたそうです。
此処で例を挙げましょう。





Dearジョンソンへ
─────────

今日は暑くて家の犬が熱中症にかかって大変だったよHAHAHA。その上病院代がぼったくりの如く高くてさあ大変。
明日から三食バナナかな。はは、笑えねぇ。

ってことで、数学者の義務兼腹いせでコレ解いてみてくれ。(*>V<*)b


f(x)=X三乗+X二乗+6X+2+Kとする
解の個数に応じてKを場合分けせよ



それじゃあ元気でな。


Your Friendワシントン
───────────





管理人のパソコンでは二乗とか打てないんで色々勘弁してください。
まぁ、こんな感じな手紙を受け取ったワシントン君は答えと別の問題を手紙に書いて送る、と言った風に、この時代の数学者は日々お互い切磋琢磨していたそうな。




ところで冒頭に戻るようですが、三次方程式の解って、たまに出すのがすごーく面倒ですよね?
ですから、数学者も人の子。少しくらい計算に時間を時間を取られます。
ところがある時、それを覆すタルターリアという人物が現れました。




*管理人の妄想です




様々な学者がどんな複雑な解になる三次方程式の問題を出そうとも、タルターリアはすぐさま答えを出してしまいます。学者達は少々動揺しました。
何故彼はこんな事が出来るのだろう!と………。






…………はいっ、既にお気づきでしょうが一応。


なっ、なんと!彼は既に三次方程式の解の公式を見つけていたのです!

ワンダフル!ビューティフル!!エクセレント〜〜〜〜!!!





………虚しいのでこれくらいにして。(ぉぃ)


ってなワケで、どんな複雑な解だろうと、どんな微妙な係数だろうと、係数さえ当て嵌めちゃえばちょちょいと解ける公式という最強の武器を手に入れたタルターリアは、日夜鼻歌まじりで三次方程式を解く日々を送っていました。


そして勿論、全員の学者がそれに気づかないわけがありませんでした。そして皆、その公式が知りたくてたまりません。

しかしタルターリアは、その公式を特許とって公開する事もなく門外不出にしたため誰も教えてもらえません。
しかも以外に頑固で、いっくら頼み込んでみても駄目なのです。

お、丁度頼んでる人がいますね。ちょっくら立ち聞きと致しましょう。




『なぁタルターリア。解の公式知ってるんだろ?教えてろよ〜』

『駄目駄目。門外不出って決めたんだから』

『じゃあ〜……ヒント!ヒントだけ!!』

『却下』

『そこをなんとか〜……』

『無理』


教えてくださいお願いします(土下座)

『嫌』



「…………っつ……鬼!悪魔!!アルパカ!!!(だっ)」







………今のは相手の頼み方にも問題がある気がしますが、それにしても噂に違わぬ頑固っぷり。
こんな風に、タルターリアはいくら友達を無くそうと決して誰にも教えませんでした。


めでたしめでたし。













なワケが無い。










どんなに親しい人が訊いても解の公式を教えないとの噂のたったタルターリア。いつしか誰もが聞き出すのを諦めていきます。

しかし、未だ知りたいと願う一人の男がいたのです。

その男の名はカルダノ。しがない数学者です。



*管理人の妄想です




『くそっ………そのうちぽろっと漏らすかと思とったが、案外口が固いなぁ………』


酒場で酒を飲みながら、カルダノは一人で愚痴を零していました。怖いって。
とまぁ、彼はほぼストーカー当然にタルターリアにつき纏い、時々警察にご厄介になりながらもしつこくしつこく×100解の公式を教えるよう迫っているのです。
ある意味結婚迫られるよりキツいでしょう。そう言う事を言ってる場合所無いですが。


兎に角カルダノは、周りがよくやるな………と思うくらいに、あの手この手でタルターリアにつき纏っていました。











例えば、街であった場合。


「あ、タルターリア」

「Σげっカルダノ」

「てっめぇっ!今日こそ解の公式を教えやがれ!」

「2a分の−b±√b二乗−4ac(←二次の公式)」

「ざけんな」

「ふざけてんのはそっちの方だ。何だよその頼み方」

「土下座したら教えるか?!」

「はっ、誰が




例えば入浴中



バターーーーーン!!!


「タルターリア!」

「ギャァァァァァァ!!!!!!!

ちょっ………いくら共同風呂だからってそれはなくない!?え、なにそれとも俺がオカシイの!?」

「アルキメデス(だったっけ)は裸で街を駆け回ったぞ」

「時代も状況も違うだろ!ってか出ーーてーーけーーーーーー!!!
(=□=;)」








と言った具合です。大変ですね。(←本当に)



それでも頑張って逃げていたタルターリアですが、やはり人間。段々肉体的にも精神的にもボロボロになったてきます。
そしてとうとうある日「俺……これ以上つき纏われたら死ぬ………」と思ったタルターリアは、カルダノに三次方程式の解の公式を教える決心をしました。


星の数の数学者を泣かせてきたタルターリアの鋼の決意。
それはこうして、此処で一人のストーカーによって打ち砕かれてしまったのであった。






そして、某日某所にて。


「絶対誰にも言わない?」

「言わない言わない」

「絶対の絶対?」

「絶対の絶対」

「絶対の絶対の絶対の絶対の絶対の絶対の絶対の絶対の絶対のz「しつけぇよ!!!」


「ちっ………ごにょごにょ(←耳打ち)


……………判ったか?」

「ああ。ありがとなタルターリア」



おや?以外とあっさりしてますね。
コレならもっと早く教えとけば良かったな、と家路に帰りつつタルターリアは思いました。





そして、次の日。




「母さん、新聞どこ?」

「テーブルの上よ〜」

「ありがと。ん、どれどれ…………


ああああぁああぁぁあぁぁぁぁぁ!?!!!!!
Σ(T□T;)」





新聞に目を落した瞬間、ブルーハワイの如く真っ青になり絶叫するタルターリア。い、一体それには何が書かれていたのでしょうか?!それともカメムシでも挟まっていましたか?!!(←え")


ちょっくら横から覗いてみましょう!



夕日新聞
─────



『数学界震撼!三次方程式の解の公式発見』

昨日の夕方、○○街にお住まいのカルダノさんが、今まで誰も作ることの出来なかった三次方程式の解の公式を発見したことを学会に発表し、見事認められました。
これを使用することにより、計算する時間は大幅に短縮され、今後の数学界の進歩に大きく貢献することでしょう。
カルダノさんご本人に一言インタビューをした所、「偶然ですよ」と謙虚な姿勢でおられました。


────────





…………なんというか、可哀想過ぎて言葉も出ない。



しかもその公式、後日「カルダノの公式」と名付けられたそうです。


どんだけ可哀想なんですか。




周りの学者は判ってくれているでしょうが、学会に発表、見つけたことをほのめかす事すらしなかったタルターリア。
彼がそれを発見したという事実は、長い間表舞台から抹消される事になってしまいました。







そして余談ですが、その後、これまたもの凄くややこしい、いっそエグい四次方程式の解の公式が発見されたそうな。

しかし、五次の公式はなかなか見つかりませんでした。



そしてそれは、その後数百年経ってから、「五次の方程式の解の公式は無い」と、ガロワという、若き天才数学者によって証明される事になります。




*管理人の妄想です




そして、やはりというかなんというか、彼も彼で面白い事をしでかしてくれちゃっているのです。それについてはまたいずれ………。





つづく













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