Vinculum
□朝食中はお静かに
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夏の名残で蒸し暑さが残る時期ですが、空調管理のばっちりなホグワーツの生徒は今日も元気です。
朝の問答の末、結局残骸になったリリーの目覚ましを返したジェームズは少し苛々しながら朝食の席に着いた。
その苛々っぷりに「自分が悪いんだろ……」と周囲のグリフィンドール生はげんなり。
しかし、ヘタレなくせに空気が読めない人は、クラスに一人くらいいるものである。
「ジェームズ。今日の授業ってなんだっけ」
「「魔法薬学」「シリウスいびり」、「占い学」「魔法史」「魔法薬学」「闇防」」
「絶対ぇ嘘だろおい!しかも魔法薬学二つある時点でバレバレだよ!つーか闇防ってなに?!!!」
「「闇の魔術に対する防衛術」にきまってるでしょ?まったくー犬が」
「酷っ。いやつーか急に闇防って言われても病診簿雨とかって脳内変換ミスする」
「君ってジャパニーズのマニアだっけ?つーかなんだよその脳内変換。病んじまえ」
「語尾にハートがつく勢いで言われると軽く凹むぜ親友………」
ずるずると朝食のテーブルに突っ伏すシリウス。それを見た女生徒は「憂うシリウス君も素敵ー!」やら「病んだら看病してあげたいわ!」などとひそひそ騒ぎ立てている。
聞こえる時点でひそひそ話の意味皆無ですね。
そうしていると、今まで無視を決め込んでトーストに糖蜜を塗っていたリーマスと、どう止めるべきかおろおろしていてその間に冷めてしまったバタートーストを齧っていたピーターが口を挟んだ。
「ジェームズ。そろそろ止めてあげなよ。周りが可哀想だよ」
「俺じゃなくて周りなんだ」
「ッチッ……判ったよ」
「そして引くんだ?!!」
「なに………なんか文句あるの?」
「滅相もない」
あれー、なんで俺こんな立場弱いんだろう。虚しくね?などと思いながらも、そろそろ朝食も終わりなので自分の皿のものをかき込むシリウス。育ち盛りですね。良い食べっぷりです。
それを心配するピーター。
「シリウス………そんなに急いで食べるときっと詰め……」
「ん?はぃほぅふはぃほぅふ(訳・大丈夫大丈夫)………ゲホッゴホゴホッゲホッ!」
「咽せた──────!!!」
ピーター半泣き。
ことん
「なにやってるのよ。馬鹿」
リリーがシリウスの目の前に水を出してくれた。
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