プロポーズ大作戦
□ハンガリーの場合
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「あら?ドイツ…どうしたの?」
「いや…えっと…だな」
俺が最初に訪れたのは、ハンガリーの家だった。
オーストリアからも意見が聞きたかったのだが今調度一人で出掛けているらしく、ハンガリーと二人きりであるこの状態も合わせて二つの意味で心配になった。
ハンガリーは昔からイタリアを見知っているし、身近にいる意見の聞ける女性として1番適当だと思ったのだ。
「ドイツが突然来るなんて珍しいから驚いたわ。アイツだったらたまに来るんだけどね」
「…兄さんが迷惑かけてすまない」
「そういえば、どうしてうちに?」
「じ、実は………」
俺は"誰に"とは言わず、プロポーズがしたいと告げた。
相手が国であること、男であること、イタリアであること全てを伏せて、ハンガリーにはプロポーズの仕方を考えてとしか言わなかった。
ハンガリーは一瞬固まって驚いたような表情を見せたあと言葉にできない笑みを浮かべる。
「ようやくイタちゃんと結婚するのね」
「そう結婚…って何故イタリアと!?」
「そりゃわかるわよ」
逆に聞くけど他に誰がいるのよ。
と、言われ俺は納得できなかったが無言で負けを認めた。
ハンガリーは紅茶を一口飲むとカップをテーブルの上に置き「ふぅ」とため息を漏らす。
俺も紅茶を飲もうとカップを手に取り口に含んだ瞬間―――。
「ねぇ、イタちゃんと結婚したら毎朝裸エプロンとかしてもらえるかもしれないわよ」
「ぶっ!?〜〜ゴホッ!ゲホッ!!」
「良いわね〜きっと可愛いわよ!オーストリアさんもやってくれないかしらハァハァ」
「ハンガリー!!」
「うふふごめんなさいね。冗談よ」
明らかに目が本気だったので俺はこの言葉を信じないことにした。
そういえばハンガリーはこういった話に食いつくことが多い気がする。
日本もそうだが一体何故なのだろうか。
俺は手渡されたタオルで顔を拭いた。
ようやく真剣に考え始めてくれたハンガリーは何か気づいたようでポンッと手の平を叩く。
「そういえばイタちゃんはグルメよね!やっぱり美味しい食べ物で気を引き付けてその時プロポーズ!って言うのはどう!?」
「…ふむ、確かにそれは良いかもしれんな」
「でしょう?」
「だが、グルメなイタリアの舌を満足させられる店なんて俺は知らないな…」
「じゃあ…あそこぐらいしかないわね」
ハンガリーはあまり気が進まないような顔だったが、そこしか選択肢がないのだと苦笑していた。
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