プロポーズ大作戦

□ベラルーシの場合
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先日は大変な目にあった。

もうあのような苦い経験をしたくないと思うが、俺の悩みを解決するためにはあの道をまた通らなければならない。

それに…、たまに想像するイタリアとの結婚生活が幸せそのもので、どうしてもこの気持ちを抑えられないのだ。
朝起きると、イタリアが隣で寝ていて、きっとアイツは起きたらおはようのハグを求める。
それで抱きしめてやれば、嬉しそうに「ヴェー」と鳴いて照れた笑顔を浮かべるのだろう。
朝食を共に準備して、イタリアが先に仕事に行く俺を送り出して…。

とまぁ、このようなイメージをしたところで俺はふと気づいた。

「今の生活と…あまり代わり映えしない気がするな…」

いや、しかし結婚したらイタリアも早起きになって朝食の準備をしてエプロン姿で俺を起こしに来るなんて夢のようなことが実現するかもしれない。
そうだ。そうだな。
それに、恋人としての生活が結婚生活とそう変わりないかもしれないと言うのは逆に良いことではないだろうか。
問題なく毎日を過ごせるなら………と言うよりも、毎日の中にイタリアがいて、二人で過ごせるのが結婚と言うものだろう。

夫婦と呼ばれる仲に、なれたら良いのだが…。

「おい貴様」

「ん…?」

深く考え事をしていたせいか俺は何度か呼び止められていたのに気づかなかったらしい。
不機嫌気味なその声の主を確かめようと声のする方に顔を向けた。

「兄さんを知らないか」

「ベッ…ベラルーシ」

そこにいたのはソ連が生み出してしまった最終兵器、ベラルーシだった。
最終兵器と言うのはロシアに対しての意味だが、ロシアがその場にいなければその対象はコチラにも向きかねないので気を緩めることが許されない。

長く伸びた髪が、微かな風になびいているだけなのにその威圧感は相当なものだ。
顔、態度、オーラで相手を威圧するこの国はロシア以上に恐ろしさを感じさせる何かがある。

「知ってるのか知らないのか、どっちなんだ」

「い、いや…すまないが俺は知らない」

「………そうか。なら貴様に用はない」

立ち去ろうとするベラルーシを見ていて、俺は何を思ったのか変な言葉を投げ掛けてしまった。


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