プロポーズ大作戦

□ベラルーシの場合
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「ロシア…兄のことが好きなんだな」

「…当たり前だ」

無視されるかと思ったが、彼女は足を止め、少しだけコチラを見る。

「愛する人の傍にいたい。片時も離れたくない。兄さんの愛を私だけに向けたい。大好きなものを渡したくないのよ」

「………傍に…か」

ベラルーシの愛は大分歪んではいるが、その一途な想いは見習うところがあった。
イタリアに、こんな気持ちを伝えれば良いのかもしれないな…。

「ベラルーシ、愛する人に自分のものになって欲しいと言う時はどうすれば良い」

「ふん…。また北イタリアのことか」

「(ハンガリーと日本は別として何でベラルーシまでわかってるんだ!?)」

自分の普段の行いを振り返りつつ、イタリアにそのような感情を抱いていないと見えるように必死に演技してきたと言うのに…。
付き合っているのも教えたのは極少人数のみのはずだ。

「男同士なんて気持ちの悪いことを…。私に近寄るな」

「う…。わかってはいるんだが…」

もっともなことを言われて俺は言葉が胸に刺さる痛みを感じた。

「…………私なら、好きな人を誰にも負けない気持ちで愛する」

「……?」

「兄さんを探しに行かなきゃ…」

ベラルーシは一言呟いて、二度は言わず、歩を進め始めた。

彼女の愛は些か強引だ。
溢れんばかりの自分の気持ちを相手に押し付けるように与えているだけだと、そう思っていた。
だが違うらしい。
落ち着いたベラルーシを見ることは滅多にないが、さっきの話を聞くと彼女が本当に兄を敬愛しているのがよくわかる。

イタリアも、自分の想いに嘘を付かず積極的にスキンシップをしていた。
そして、それが今の俺に足りていないこともわかっているつもりだ。

「多少…強引に…」

イタリアを自分の物にしてしまう、なんて表現を使うと聞こえが悪いが、正直、俺はそういった独占欲はかなり強い方だと思う。
ほんの少し、それを表に出すのが、プロポーズなのかもしれないな。

「イタリア…」

この時間帯ならシエスタをしているであろうイタリア。
俺は走った。


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