プロポーズ大作戦

□ロマーノの場合+α
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パソコンのキーボードを叩く手を止めて、コーヒーを一口飲んだ。
苦味と少しの酸味が口に広がる。
カチャと音を立て、受け皿に戻したカップの中身のコーヒーに映る自分を見ながらここ数日のことに思いを馳せる。

こうも失敗続きだとさすがに男としての自信を無くしてくる。
弱気なことを言っていられないのだが、イタリアを前にするとどうも弱くなってしまうらしい。
情けない…。
1番格好悪い所を見せたくない相手なのにな。
…どうにかできないかと、調度目の前にあったパソコンで検索してみることにする。

「む…相手を落とすならまずは相手の家族から…か…」

目に止まった項目を口にして、思い当たる節があり納得して頷く。
思えば、あいつの実の兄弟でありながら俺は関係が上手く行ってない。
これは確かに由々しき問題だ。
それに、結婚を申し込むならまず相手の血縁者に了承を得に行かねばならないはずだ。
とにかくプロポーズしなければと焦っていたが、少し冷静になってくると周りのことも見えてくる。

味方が増えることは悪いことでもないし、一旦イタリア以外に目を向けるのも良いのかもしれない。

「ロマーノはどこだろうか…」

外が肌寒いことを想定してコートに袖を通しながら、そう呟いた。






「あれー?ドイツどないしたん?こんなとこで会うなんて珍しいなあ!」

「スペイン…ロマーノはいるか?」

「んー…おるけど…今ちょっと機嫌悪いで?」

最近南イタリアが仕事の関係でスペインの家を訪ねることが多いと聞いたので、まず行ってみようと決めていたんだが、いきなり当たりが来たようだ。
しかし…機嫌が悪いと聞くと条件は少し悪いらしい。

「少し話がしたいんだ。借りても良いか?」

「俺は別に気にしないんやけど…ロマーノがなあ…」

「どうかしたのか?」

スペインが言いづらそうに途切れ途切れで言葉を紡ぐので俺は首を傾げた。
考えるように空を見上げて、頭の後ろを掻く。
なかなか判断が決まらないようで、俺はとにかく答えを待つことにした。


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