Beloved feeling

□*nine*
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確かに、飯が食いたいと言って来た妖におにぎりを投げた事も
店に入ってこようとした奴を防いだ事もある・・
「おやっさん・・・見えるんですか?」
「いや、俺は見えない・・・ただ同じ事をしていた奴を知ってるんだよ」
「え?」
「俺の親父だ」
俺はビックリして、バーガーをテーブルに置く
「子供の時によく店の前で親父が、握り飯を投げてやってたし、店に入って来ようとしたら、ダメだ!って仁王立ちで防いでいたな」
「あら・・そうなの?私全然知らなかったわ〜」
「優ちゃんがここに来てからは親父は店に来てないもの」
「そうか〜」
「だからか・・・」
「「何が?」」
夫婦揃ってハモって聞いてくる
本当に中の良い夫婦だ
「たまに・・・親父は元気か?って聞いてくる奴がいて・・おれはおやっさんの事かな?って・・・でも見える風でも無いし・・・
なんだろ?って思ってました」
「お化けがそんなこと聞いてくるの?」

「違います」
「違うぞ」
俺とおやっさんは同時に奥さんに向かって返事をする
「あらら・・仲の良いこと」
コロコロと笑う
「夏が見えてるのは妖怪だ・・な?そうだろ?」
「はい・・・・そうです」
「え〜・・お化けとどう違うのよ〜」
「妖怪は・・人間じゃ無いですから」
「あ・・そっか・・・」
俺はまた、バーガーを持ち上げて齧り付く
おやっさんはとっくに食べて仕舞っている
「夏さ・・良かったら見に行ってやってくれよ」
「・・・・・あの・・・」
俺は口の中の物を飲み込んで、ジュースを飲んでからおやっさんに問う
「気味悪く無いですか?俺・・・ここで働いてていいんでしょうか?」
「何を馬鹿な事を・・・言ったろ?俺の親父も見えてたって、んなもん気にするわけないし、お前は素直で良い子だ!大学卒業までは
うちでバイトしなきゃいけないんだよ!」
力強い言葉に、嬉しくなり
「はい・・・ありがとうございます」
「それに・・ここにいる間に少しは筋肉付けないとな」
アハハと笑いながら言う
「あら・・やだ夏目君は今の方がいいわ〜・・そんな猛さんみたいに筋肉付いてる
姿なんて想像できないもの〜」
「なにを!男は筋肉だ!ロマンだろ!ロマン!!」

そんな話をしながら休憩が終わり
晩の営業時間が終わり
明日、土曜日はお店も休みだし
相手の家も家族が揃っているとの事で
奥さんと一緒に行くことになった
「あの・・・」
「ん?な〜に?」
「俺よりかそういった方面に詳しい奴がいるので、そいつも連れて来ていいですか?」
「あら、もちろん」
「なんだ、友達か?」
おやっさんも興味津々って感じで聞いてくる
「はい、同じ大学の奴なんですけど」
「そっか・・・同じ物が見える友達いるんだな・・」
「はい、なんだか偶然に」
「良かったな!」
笑顔で言ってきてくれる
「はい」
俺も笑顔で答えている
本当に・・名取と出会えて良かったと思う
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