Temptation

□欲
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沸騰したてのお湯を
少し高めの位置からティーポットへ注ぐ
茶葉がよく回るように
ポットの蓋を閉めて、眺めていると
茶葉がポットの中でクルクル回る
少し落ち着いてから、ポットとカップをお盆に乗せて
ゆっくりとソファに持って行く

気配に気づいて、顔を上げ
嬉しそうに笑う名取さんの笑顔に見惚れて
つい、手がおろそかになり、お盆の上でカップが滑る
「わわっ・・」
慌てて、体制を整えて
なんとか落とすような無様な真似はせずに済んで
ホッとしてお盆をテーブルに置く
思わずため息を吐くと、名取さんが苦笑して
指を伸ばして、俺の頬を撫でる
「・・・・な・・なに?」
「寝跡・・」
「え?」
と自分で頬を触ると、がたついている自分の頬
何かが当たってたんだろうな〜と
つい名取さんの太ももに視線を落とすと
名取さんも自分の足を見て
パンツに付いている飾りが目に入る
「これだな・・」
「これですね・・」
2人で同時に喋り、顔を見合わせて
吹き出してしまう

名取さんは顔を寄せてきて
軽いキスを落とす
すぐに離れてしまう唇を目で追うと
笑って、またチュッと落としてくれる

恥ずかしくて目を伏せると

「好きだよ・・・」

何回目か分からない
告白にドキッとする

俺が目を上げると
手で頭を撫でて笑う

「大丈夫・・・待ってるから」

クスッと笑って、ティーポットを取ってカップに注ぐ

その姿を見ながら

あと・・少しだけ・・待っててください
そうすれば
そうすれば
俺も・・この口から言葉を出せる

あなたが好きですって・・
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