is in love

□陸
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ご飯の味付けをしてかき混ぜていると
夏目がやってくる
服を着替えて、なんだか良い笑顔を浮かべている
ジッと見ていて、俺と目が合うと途端に真っ赤になり慌てて顔を反らす

「なんで顔を背けるんだよ」
笑いながら聞くと、夏目はプイッと横を向いたまま
「いいじゃないですか!見ないでください」
「見るっての」
ご飯を手の平に乗せると
「おにぎりですか?」
「ああ、何も無いんだ・・あとは卵焼くだけ」
「じゃあ、卵焼きます」
「厚焼き出来るの?」
「やったことないけど・・出来ます!」
「じゃあ、お願い」
「はい」
卵を割って、シャカシャカと混ぜる音を聞きながら
おにぎりを作っていき、出来上がって隣のフライパンを見ると
卵の海が波を立てている

「あ・・全部入れた?」
「・・・・」
無言でフライパンを見つめている夏目
「3回位に分けるんだけどね・・・」
「入れてしまってから気付いたんです・・・」
「そっか・・・」
2人でフライパンの中で、チャプチャプと音を立てそうな卵を見つめる
「どうしましょ・・・これ」
「ん〜・・・炒り卵にしたら?」
「こんなに?」
「だって・・・それプロでも巻けないと思うよ」
「ですよね・・」
「根気よく混ぜてたら、炒り卵になるよ」
俺は笑って、釜を洗い炒り卵用に深めの皿を出して置いてやる

食べるのに苦労したけど、炒り卵もちゃんと片付けて
後片付けをしてから、家を出る
もうすっかり、山向こうにオレンジ色の太陽が沈んでしまい
空は藍色とオレンジが混ざった色が広がっている
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