is in love

□陸
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車で桜の名所だと言われている所まで走る
まだ桜の花がたくさん残っているのもあれば
ほとんど散って仕舞っているのもあり

しばらく走ると、桜の木が集まって咲いている場所を見つけた
宴会に適した場所もあるのに、誰もおらず
車を路肩に停めて降りる
風が吹くたびにハラハラと落ちる花びらがすごく綺麗だ
途中コンビニで調達した、お茶やらお菓子やらが入った袋を置いて
地面に座り込むと、夏目も隣に座ってくる
しばらく2人で並んで、無言のまま散りゆく桜を愛でる
すっかり辺りは暗くなり、街灯に照らされている桜は白く浮かんでいて、幻想的な情景だ

ザアッと音と共に強めの風が吹き、凄い量の花びらが降り注ぐ
「うわ・・」
花びらを掴まえようと手を伸ばすと、何枚も落ちてくる
そんな俺の腕を夏目がそっと掴んでくる
振り返ると、不安げな顔で見上げてくる
「どした?」
「名取さん・・」
「ん?」
「何処へも行かないでくださいね」
「なに・・急に、行かないよ何処にも」
「なんだか不安になりました・・」
「可笑しいな・・君はそんな弱い子じゃなかったろ?」
頭を撫でながら言うと、夏目は顔を伏せて
「なんででしょう・・」
夏目も分からないって感じで頭を振る
俺は夏目を地面に押し倒して、唇を合わせて
「ずっと傍にいるって言い切ったのは君だよ」
「そうですけど・・」
「俺も離す気無いけどね」
「・・・・」
また唇を近づけようとすると
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