Temptation

□哀切
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通い慣れたマンションのエントランスに入り
暗証番号を押して、扉をくぐる
簡単な護身術や式の飛ばし方等を教えてもらいに
しばらく前から通ってきている
何回目かに合鍵まで渡してくれた
扉に出るのが面倒とか言ってたけど・・
エレベーターに乗り込んで
最上階のボタンを押して、しばらくすると

{扉が開きます}

の機械音声と共にエレベーターが開くと
綺麗な女性が立っていた
モデルか何かのようにスラリとした美女だ
俺が降りると、入れ違いに女性が乗り込む
隣を通るときに
すごく良い香りの香水が鼻腔をくすぐり
思わず振り返ると
女性は俺の視線を避けるように、俯いて扉を閉め
エレベーターが下がっていく

(少し不躾だったかな・・・)
女性をあんまりジロジロ見るのは失礼だったかと反省する
名取さんの部屋へ向かいながら
先ほどの女性の香水の後をたどっている感覚に陥る

(ん?・・・・・)
扉の前まで来て
(錯覚じゃない・・・この部屋から出てきたんだ・・・・)
途端に、心臓がドクンッと大きな音を立てたようだ
ドキドキする心臓を落ち着かせようと
扉の前で佇んでしばらくしてから
預かっている合い鍵で
扉を開ける
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