Temptation

□嫉妬と愛と束縛
1ページ/5ページ


鼻歌交じりにエレベーターを待っていると
凄い美人の女性が降りて来てすれ違う
スタイルといい、髪型といい、着ている物と良い
そこら辺では見かけない美人だ

振り返りたくなる衝動を抑えてエレベーターに乗り込み
目的の階数のボタンを押す

小さな箱の中には、女性が残した香水の香りが充満しており
少なからず閉口する
こういったきつめの香りは好きじゃない

傍に来られると、味覚も分からなくなるし
頭が痛くなってしまう

名取さんは香水は身だしなみ程度に、デオドラントと少しだけ付ける位だ

抱きしめられる時に少し鼻腔に掛かる
ほのかな香りが好きだ

そんな事を思いながら、1人でにやけて
赤くなる頬をペチペチと叩く

途中に寄ってきたお店の1番人気だというケーキの箱を持ち直して
これと一緒に、この間名取さんが海外で買ってきた紅茶を飲もうと思う

まだあればの話だが

本場だからか、本場という意識で飲むからか
その紅茶は香りも味も美味しくて
一緒に買ってきていた菫の蜂蜜を垂らせば
なんだか幸せな気持ちになる位ホンワカとした味が広がって

名取さんが、幸せそうな顔するな〜と爆笑していた


目的の扉の前で、チャイムを鳴らせば
インターホンから
「はい・・・・あ・・・ちょっと待って」
いつもと違うニュアンスの<ちょっと待って>が響いてきた
あれ?と思う
(今日は遊びに行くって言ってたよな・・・時間かな?)

腕時計を確認すると、この時間くらいと伝えていた時間よりも1時間ほどは早い
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ