Temptation
□嫉妬と愛と束縛
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鼻歌交じりにエレベーターを待っていると
凄い美人の女性が降りて来てすれ違う
スタイルといい、髪型といい、着ている物と良い
そこら辺では見かけない美人だ
振り返りたくなる衝動を抑えてエレベーターに乗り込み
目的の階数のボタンを押す
小さな箱の中には、女性が残した香水の香りが充満しており
少なからず閉口する
こういったきつめの香りは好きじゃない
傍に来られると、味覚も分からなくなるし
頭が痛くなってしまう
名取さんは香水は身だしなみ程度に、デオドラントと少しだけ付ける位だ
抱きしめられる時に少し鼻腔に掛かる
ほのかな香りが好きだ
そんな事を思いながら、1人でにやけて
赤くなる頬をペチペチと叩く
途中に寄ってきたお店の1番人気だというケーキの箱を持ち直して
これと一緒に、この間名取さんが海外で買ってきた紅茶を飲もうと思う
まだあればの話だが
本場だからか、本場という意識で飲むからか
その紅茶は香りも味も美味しくて
一緒に買ってきていた菫の蜂蜜を垂らせば
なんだか幸せな気持ちになる位ホンワカとした味が広がって
名取さんが、幸せそうな顔するな〜と爆笑していた
目的の扉の前で、チャイムを鳴らせば
インターホンから
「はい・・・・あ・・・ちょっと待って」
いつもと違うニュアンスの<ちょっと待って>が響いてきた
あれ?と思う
(今日は遊びに行くって言ってたよな・・・時間かな?)
腕時計を確認すると、この時間くらいと伝えていた時間よりも1時間ほどは早い