Temptation

□名取誕 3
1ページ/4ページ


寝付きが悪いのはいつもの事で
その日も中々寝付かれずに、ようやくウトウトし始めた真夜中
微かな音に意識が浮上する

(ん?・・・先生か?・・・折角寝られてたのに)

くるまった布団の中で舌打ちがつい出てしまう
少しだけ寒いなと感じる季節から、今日は一気に寒いなと思う位の
気温の変化、布団の中は幸せな温度に保たれていて
潜り混むようにすると

コンコン

今度ははっきり聞こえた
(また名前か?・・・勘弁してくれよ、こんな夜中に・・)
無視すると、騒ぎ出す奴もいるので
仕方無く布団を剥いで、立ち上がりカーテンを開けると

「え?・・・・」

窓の向こうには妖では無く、寒さに震えた俳優がうずくまっている
呆気にとられていると、窓の向こうでは小声で
「早く開けて〜」
等と言ってきているので、鍵を外して窓を開けると
靴を脱いでから部屋へと入ってくる
見回すと、先生は呑みに行っているのか部屋にはいない

「どしたんですか?こんな時間に・・・びっくりしました」
「あ〜・・寒かった!」
下では藤原夫妻が寝ているから小声で話しながら
名取さんが冷たくなった手を頬にギュッとあててくる
「つめた!何するんすか!」
「ああ、あったかい・・今日さ、こんなに冷えるなんて知らなくてさ・・夏目が気付いてくれなきゃ凍死してるとこだよ〜」
「うわ〜・・朝起きて、あんたの死んでる姿を1番に見るなんて最悪ですね」
「うん・・相変わらず可愛いよね〜」
笑って呟きながらも、顔から手は離せて貰えない
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ