だいすきなきもち

□たいせつなきもち
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天高く抜けるような青空の秋晴れ
お陽様が差している場所に立つと暑さを感じるくらいいい天気で
朝早く起きた俺はさっきからそわそわと落ち着かない
そんな俺を呆れるようにみるニャンコ先生の視線を感じているが
「お前は本当にアホだの・・」
あくびをしながら言う先生をキッと睨むと
「こないだ会ったときにちゃんともやもやを解消せんからだろう」
「!!!・・・だって」
赤くなって俯く俺を先生はさらにたたみ掛けてくる
「まあ、百戦錬磨の小僧の事だからとっくにお見通しかもしれんけどな・・」
と言いながら伸びをして、とてとてと台所に向かう先生に吊られるようについて行くと

「やっぱ、百戦錬磨なのかな・・?」

「は!?決まっておるだろう?わしには変な妖気にしか見えんが、人間にとっては
あれは強烈なオーラだ、あれを無視できる人間は少ないだろう」
いいながら先生はりんごをくわえて剥けとばかりに差し出してくる
さんざん、このまま食べられるだろうだの、芯が酸っぱいからイヤだの、皮が歯に挟まるだの、歯周病か!とかあ〜だこ〜だ言っていたら
足音して塔子さんが起きてきた

「あら!貴志くんもう起きていたの?」

ごめんね、おなか空いたよね〜といそいそと台所に立つと
俺が握りしめているリンゴを見て、不思議そうな顔をした
「剥きましょうか?」
慌てて何故か後ろに隠すと、違う違うと手を振ってかごの中にリンゴを戻したら
後ろから先生が足に蹴りを入れてきたけど、無視して塔子さんの周りを思わずちょろちょろしていたら
「くす、楽しみなの分かるけど、ちょっと落ち着きなさい」
とくすくす笑いながら言われた
「名取さんがお迎えに来るのに、まだ2時間もあるわよ〜」
と卵を割りながら尚もくすくす笑う
名取さんと聞いただけで心臓が口から出そうな位に跳ね上がった気がした
<だめだ心臓に悪い・・なんなんだ一体・・そう、今日は前に約束した失せ物探しを兼ねた
名取さんとの2回目の旅行、昨日から落ち着かなくて、散々と先生にはからかわれ通しだ>
顔が真っ赤になっているだろうなと、昨日から何回目かの荷物チェックをしてみる
対して見る物もなく、テレビを付けてみて
やっぱり見る物が無いので消す
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