だいすきなきもち

□初めての・・・
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「夏目・・・」

声を掛けられて振り返るとそこには
「牡丹・・・あれ?牡丹だよな?」
「ああ、久しぶりだな、毎日が楽しいみたいで良かった」

牡丹は以前に縁があった、女性の妖怪だ
艶やかに笑う笑顔は、以前よりも少しふっくらとして
牡丹こそ幸せそうだ
「もう、とっくに上がったと思ってたんだけど?」
不思議に思って問いかける
亡くなる寸前に、俺の中へ受け入れて
一時は心を共有した仲だ

自分の中から消えたので、成仏?というか昇華したのだと思っていたのに
俺の前に現れて、正直びっくりしている

「亜姫はちゃんと転生の準備に入っている・・妖はまた別だ」
苦笑いを浮かべて言う
「そうか・・・違うんだな」
「ふふ、不思議そうだな」
軽く笑うと、腕に抱いている物を見下ろす
布を抱えている
「夏目に返さなくてはいけなくて、出てきたんだ」
布を見下ろしながら言う様子はなんだか哀しげだ

「返す?」
「ああ、私では無理だから・・」
「・・・?無理?」
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