だいすきなきもち ミニ♪

□ひげ
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名取さんがテーブルに置いた鏡で自分の顔をチェックしている
毎度の事なので、俺は本を読んでいたら

「ひげ生やしてみようかな〜」

名取さんがボソリと呟く

「え!?」
俺はビックリして顔を覗き込む
「そんなビックリする?」
「だって・・ひげってイメージ合わないでしょ?」
「だよね〜・・でもなんかこうイメージを打破したいっていうか、払拭したいというか〜」
顔を左右に向けてチェックする
「払拭って・・・軟弱というか軟派というか軽いというか、チャラいというか・・」
「こらこら!どこまで行くんだよ!
軽いイメージなんて無いよ!誠実さが売りなのに!」
「え?誠実?夢の中でですか?」
「ひどい!夏目・・本当に俺の事好きなの?」

俺はまあまあと腕を叩き
「で、どんなひげですか?どじょうひげは止めておいた方がいいですよ」
「しないよ!そんなひげ!」
「え・・?じゃあちょびひげ・・?」
俺は口に手をあてて考え込む
「夏目の中のひげのイメージって、どんななのさ・・・」
「おじいちゃん・・・かな?」

「・・・・・・止める・・・・」
「え?」
「じいちゃんだと思われたらイヤだから止める」
「そうですか・・」

俺は答えて、また視線を本に戻す
内心はしてやったりだ
名取さんには絶対ひげを生やして欲しくなかったので、変なイメージを言うと止めるかと思ったら、止めてくれたので、見えないように笑みがこぼれる


名取は鏡を見ながら
(夏目ってよっぽど、ひげ生やされるの嫌なんだな・・嫌われても困るからひげは止めておこう・・)
少し残念ながら、鏡をしまって
夏目の頭をグリグリ撫でると
嬉しそうにソファに座る名取を見上げる


その笑顔を見て
(夏目の言うがままだな・・)
と苦笑気味の名取だが、どうもそれが幸せらしい

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