だいすきなきもち ミニ♪

□逆襲
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少しだけ夏目を怒らせた
からかいすぎた

でもその後は
許してくれたので、ホッと一安心

可愛いからって
程々にしないとね

洗面所で
髪をセットして
髭のそり残しが無いかを確認
全身を確認して

撮影現場へ向かおうと
リビングに鞄を取りに行くと
夏目が、嬉しそうに笑う

吊られて笑うと
「あ〜・・キリッとした顔が・・・」
残念そうに言われる
すいません・・締まりが無くて・・

だって、君の笑顔を見ると
嬉しくなるでしょ
と頬にチュッとすると
相変わらず照れやの夏目は
頬をピンクにして
俺の顔の前に
四角い布包みを差し出す

「ん?・・何これ?」
「お弁当です」
にっこりと微笑む
「え?・・・弁当?」
「はい!休憩の時に食べてください」
「あ・・・ありがとう・・ごめんね・・わざわざ」
「いいえ、頑張りました!残さず食べてくださいね」
「勿論!・・夏目が作ってくれた物を
残すわけ無いでしょ」

俺は満面の笑みで答える

が・・・弁当は出る・・
撮影場所で・・何回も弁当の話ししたよな・・?
忘れてるのかな?・・
まあ、どっかで食べられるか・・
鞄の中に弁当を入れ

「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい!気を付けて」
「ありがとう」

笑顔のお見送りをしてもらい
スキップしたい心境で撮影所へと向かう
慣れてきた現場スタッフや共演者達と順調に撮影も進み

「じゃあ・・ここら辺で休憩入ります
次は14時からでお願いします」
の声を受けて、俺も休憩に入る
休憩所はたくさんの人がいるので、さすがに手作り弁当は広げられない
どこか・・探していると
芝生と屋根付きベンチを発見してそこに座る

人も来そうに無いので
鞄からお弁当を出して布を開く
手作り弁当なんて何年振りだろうな〜と思いながら
蓋を開くと

「ブッ・・」

思わず吹き出した
白ご飯の上に可愛く、桜でんぶでハートがドンと乗っており
おかずが全てハート型に切られている
ゆで卵、ハンバーグ、グラッセの人参、可愛いサラダも
ハートの銀紙の中でキュウリがハートだ・・・
細かい・・・

・・・・・・よほど・・・・・・・
頭にキタんだな・・・・・

箸を持つ手がプルプルと震え、項垂れる
絶対に・・夏目を怒らせるのは
止めよう・・・絶対に・・


突然後ろから
凄まじい、連続シャッター音が響く
慌てて振り返ると、馴染みの芸能記者で
「あ!こら!」
慌てて、弁当を隠すが
「ざんね〜ん名取さん・・頂きました!あざっ〜す!!!」
と笑顔で逃げて言った

茫然自失の俺・・・
嘘だろ・・・

当然翌日のスポーツ紙には

新恋人!!
手作り弁当に喜びを噛みしめる
名取周一を激写!!

の文字・・・
喜んでない・・・
怖さに震えてたんだ・・
うんざりしながらスポーツ紙を見て
マネージャーや事務所の社長に怒られるわ
記者に追い回されるわ
散々な俺を、夏目は・・芸能人って大変ですね
なんて白々しく言ってくる
最高に可愛い笑顔で

本当に・・2度と怒らさないように
気を付けます

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