Beloved feeling
□*one*
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「夏目〜!」
俺の名前を叫ぶ学友を苦笑して振り返る
「おす・・」
「おはよ!今日は朝起きられたんだな」
笑いながら肩を叩いてくる
「そんなに寝坊しないよ」
俺はボソリと返すが、今日は母が電話で起こしてくれたからだとは言わない
大学2年にもなって、モーニングコールで起きたとはさすがに言いにくい
「お前、バイトしすぎなんだよ!」
西村は容赦なく背中を叩いてくる
「痛いよ・・」
肩を突いて、体を離すと
「夏目は華奢なんだから、そんなにバシバシ叩くなよ」
北本が苦笑して西村に注意する
俺と西村は同じ文学部で、北本は経済学部だ
西村と北本は同じ高校で仲良く、同じ大学を選んで来たらしい
学部が一緒になって仲良くなった西村に紹介されて、なんだかんだと連んでいる
西村と北本はルームシェアまでしているらしく、どんだけ仲がいいんだって感じだ
俺は侘びしいアパートの一人暮らし
あんまり負担は掛けたくない・・というのも
母とは呼んでいるが、本当の両親では無く
実父の親戚の家で5歳からお世話になっている
実の両親は5歳の時に相次いで亡くしていて
子供がいなかった今の家に引き取られ、実の息子のように育ててもらった
5歳からなので、当たり前のように父と母と紹介するが
やはり、今までお世話になった分
負担を掛けないように、削れるところは削りたくて
出来れば家から通える大学を選びたかったけれど、希望の内容に沿わず、今の大学を選んだ
生活費なども削りたくて、バイトに精を出す日々だ