Beloved feeling

□*seven*
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「ま・・的場さん・・・?」

青年はゆっくりと俺に近づいてきて
「こんにちは」
「あ・・・こんにちは・・」
まるで散歩中に会ったかのような挨拶に、思わず答える
そこへガサガサと音を立てて
誰か近づいてきて、思わず身構えて見ると
人間の男性が2人、白いものをぶら下げてやってくる
「頭首・・大丈夫ですか?」
「ええ・・なんですかそれは?」
あごで、手に持っているものをさすと
「罠に仕掛けていた酒飲み場にいたんですが・・」
「あ!ニャンコ先生!!」
俺が腕を伸ばすと、いつの間にかそばにいた
黒いからだに白の面をつけた的場の式に
腕を棒で、ぶたれてしまう
「い!!」
腕を引っ込めてさすると
「控えろ・・」
的場の声で式は、後ろに下がり距離を取った
「すいません。手が早くて」
「・・・いえ」
「夏目君の式ですか?」
「いえ・・式ではなく友達です・・」
「友達・・・?」
的場の不思議そうな呟きが聞こえてくるが
手で俺に渡すように指示してくれる
男性がぶら下げた猫を俺に渡して
抱き取ると、酒の匂いをさせて酩酊している
(助けに来れない筈だよ・・)
俺はため息を吐いて先生を揺さぶってみるが
ピクリともしない

「当分、目を覚まさないですよ」
「え?」
俺はびっくりして見上げると
的場は首をかしげて
「妖をおびき寄せる為に仕掛けた酒を飲んだんでしょう、薬を混ぜてますから」
あっさりと言い切り
的場が長い弓を男性に渡して、何か呟いている
「く、薬・・?」
「ええ、しばらく眠るだけです。毒ではありませんから」
男性2人は先に歩き出し、山を下りていってしまう
「しかし・・すごい有様ですね」
クスッと笑いながら見てくる
自分の姿を見下ろして、確かにと頷いてしまう
全身泥だらけだ
おまけにあちこち痛い
的場が手を差し出してくれたので、掴まって立ち上がろうとするけど
足に力が入らず蹌踉けたところへ、腕で体を支えられた
「す、すいません」
慌てて離れて、木に体をもたせかけた
「足を痛めましたか?」
「あ〜・・派手に転んだので」
足下を見て、先生を持ち上げようとするけど
背中も痛んで、とてもかがめずに断念する
そこで俺は気づいた・


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