Beloved feeling

□*ten*
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本当に、あさひ食堂に飯を食いにきた
半分は迎えに来たってのもあるんだろうけど
夜のおすすめ定食を頼んで、座っている名取は、はっきりいって、食堂の中で浮きまくった存在だ

銭湯帰りのおっさんや、スーツ姿のリーマンや、学生風のやつら、家族できている客の間で雑誌から抜け出してきたような、隙のない服装の上に、撮影があったのか、ヘアスタイルも決まっていて
メニューを繁々と綺麗な手で掴んで見ている姿はどこのフレンチレストラン?って雰囲気で

俺は頭を振って、他の客に出す
ご飯をせっせと運んでいる
名取には何故か、奥さんが率先して
給仕をしていて
今もお茶を出して、お盆を持ったまま
嬉しそうに名取の向かいに座ってニコニコとしている

「なんだ・・・あいつ?」
おやっさんも、イライラしながら奥さんを睨んでいるが
奥さんは素知らぬふりで
「ほら出来たぞ!肉抜きの定食が」
ドンドンとカウンターに置くので
俺は受け取ろうと、手を伸ばすと
奥さんが後ろからすかさず
「あ!私するから!夏目君はいいよ!」
「はあ・・・」
俺は出した手を引っ込めて
奥さんを見ると、嬉しそうにお盆に料理を乗せて
名取へどうぞ〜と出している
いつにない良い声で
(よほどタイプなんだろうか・・)
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