Temptation

□罠
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「心配事でもあるの?」
「え?」

夏目は考え事から顔を上げると、心配そうに見てくる視線とぶつかる

「険しい顔して黙り込むから」
コーヒーを啜りながら、見てくる視線から
少し顔を反らして、夏目はうつむき
「すいません・・・宿題多いな・・・なんて考えてました」
「ああ〜、高校生の悩みだね」
名取はクスッと笑うと、カップをソーサーに静かに置く
「じゃあ、引き留めても悪いから帰ろうか?」
伝票を手元に引き寄せる
「え?!」
「・・・え?」
驚く夏目に逆にビックリする名取の顔をまともに見る
本日初めてだ、まともに見るのは
意識しているからか、このところ会えても
まともに顔も見られない日が続いている
「・・・・宿題多いんだろ?・・早く帰りたいのかな?って・・・」
困惑気味に話してくる名取を見つめてしまう
「あ・・・すいません・・・そんな意味じゃ無いです・・」

謝りながら視線を下げて、自分の失態に内心舌打ちをする
(せっかく会えてるのに、なんて様だろう・・)
こんな受け答えしか出来ない自分に嫌気がさす
他人との付き合いのスキルは夏目には無い
当たり障り無い付き合いしかしたことが無いから、分からない事だらけで
初めて出来た友人から、学ばせて貰っている段階だ
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