Temptation

□欲
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ふと目を覚ますと、目線が横向きだ
(・・・・横向き?)
ぼんやりと思う
頬が何か温かい物の上に乗っているのも感じる
なんだろうと顔をスリスリと動かすと
下の温かい物も動いて・・
目線を下に向けると、視線の先っぽに
つま先が見える
そこを自分の顔の下までもってきて気づいた
足の上に顔を乗せていることに

ガバッと頭を起こすと
「あ・・起きた?」
「す・・・すいません!!」
ソファの端っこまで体をずらして、自分のしていたことにビックリしている
「そんなに、ビックリしなくても・・」
苦笑しながら話す名取さんの顔が恥ずかしくて見られない
「す・・すいません」
謝りながら見上げると、笑って
「謝るならさ、お茶いれてきてくれない?足が痺れて動けないから」
「はい・・・すいません」
ボソボソと言い、ソファから立ち上がると
毛布が落ちる
掛けてくれてたんだと、拾い上げて、畳んでソファに置く

キッチンへ行って、
やかんにお水を入れて、火に掛け
名取さんの好きな紅茶の用意をする
アイランドキッチンからソファに座る名取さんを眺める
足を組んで、本を読んでいる姿をボケーッと見てると
(( ピーッ ))
やかんのお湯が沸く音にビックリしてしまう

何回も名取さんがお茶を入れる姿を
カウンターに座って、眺めていたので
入れ方はよく分かっている
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