Temptation

□夢
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「夏目・・夏目・・・」
体を揺さぶられて目を開けると
目の前に、心配げな名取さんの顔
「あれ・・・夢か・・」
「びっくりしたよ、いきなり名前叫ぶんだもん」
笑いながら、肩を抱いてくれる

煩い騒音だと思っていたのは
電車の音だ
ただいま2人で旅行中
寝台車には2人とも縁がなく、はるばる大阪まで出てきて
そこからゆっくりと北上する
優雅な列車の旅
どこかのブログで読んだ
狭い上下のベッドでは無く

名取さんが予約していたのは
ロイヤルスイートだ
シャワーやテレビ、ソファセット、ベッドと
とても列車とは思えない豪華さで
俺は驚いて見回してしまう

「悪いね、夏目がネットで見てたような列車旅行じゃなくて、ほら・・やっぱり人気俳優ともなると、人目があるしましてやこのキラメキは隠せないだろう〜。旅番組かと思われても困るしね・・って夏目聞いてる?」

俺は名取さんの言葉をフル無視し
窓から外を眺めたり、部屋のあちこちを覗いてみたり
スタートした旅行は、美味しいご飯や
サロンカーから見る景色
何もかもが初体験で、興奮しながら眠りについた
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