Beloved feeling

□*two*
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そのまま家の近くのバイト先まで走った
店の前で、ゼーゼーと息を整えて
しゃがみこんでしまう
「はあ〜、参った・・」
ボソリと呟いて、足の上に腕を載せて顔を伏せる

今まで、他人と親密な付き合いをしたことが無いので、人との関わり方が分からない
確かに、名取には過剰に反応しすぎだと思うんだが、何故かパニックになってしまい、言葉が汚くなる
母さんが聞いたら嘆くな・・・と苦笑する
(あいつは一体・・なんなんだろ・・・俺と仲良くなってどうしたいんだ・・?
ただ単に妖怪が見えるってだけで・・・)
俺は頭を抱える、回りにいなかったタイプだし、どうやって付き合えばいいのかなんてさっぱり分からない

店の引き戸がガラガラッと開いて
「わ!何してんだこんなとこで」
俺は顔を上げて、店のおやっさんの顔を見る
「すいません・・休憩です」
「夏か、びっくりさせんなよ・・休憩なら店の中入れ」
「はい・・」
俺は立ち上がり、尻を払って鞄を肩から外す
「大丈夫か?白いのがさらに白くなってるぞ?」
「白いを連発しないでください・・・」
「ハハ!悪い悪い」
おやっさんは笑うと、店の前を掃き始める
「俺しますから置いてて下さい」
「お〜、まだ時間あるからゆっくりしとけ」
店の中へ入ると、奥さんが笑顔で
「おはよ!夏目君」
「おはようございます、お願いします」
「よろしくね〜」

店の奥のロッカーに荷物と上着を放り込み
マフラーを外しながら、名取の事が浮かんできて慌てて頭を振り、意識から追い出す
エプロンを着けて、頭に布を巻いて髪をたくし込む
鏡でチェックして、店に出て行っておやっさんから箒を取り上げて掃除を始める
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