Beloved feeling
□*three*
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「もう海は行かないぞ」
「海じゃない、俺ん家」
「はい〜?」
「泊まりに」
「・・・お前・・・いくらなんでも性急すぎない?」
「あれ?いいの?そんなつもりは無かったけど?」
「ばっ!!・・・・信じられない」
俺がそっぽ向くと、名取は楽しそうに笑う
「明日休みだろ・・いいじゃん色々語ろうよ」
俺は窓を向いたまましかめっ面をしてやる
(何が語ろうだ・・・)
ため息を吐いて
「どうだか・・・」
ボソリと呟くと、また名取は楽しそうに笑う
しばらく走った車は建物の地下駐車場へと入っていく
リモコンを押すと、シャッターはスルスルと音もなく上がっていく
車は中に入って決まった場所なのか、一つだけ空いた場所にバックで駐車する
「着いたよ」
暗すぎて全貌は見えなかったが
高級そうなマンションだ
「すげ〜、ここって家賃幾らなの?」
自分のアパートと比べてしまう
「ここは、賃貸じゃないよ、分譲マンション」
「へ〜」
ただ頷く俺に名取は笑顔で、手を出してくる
何故か素直に手を取ると
ギュッと握って、そのまま駐車場の奥にある扉へ歩いて行く
カツンカツンという靴音と、俺のスニーカーのキュッキュッって音だけが
広い駐車場に響き渡る